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    (27)麻鳩


 麻鳩と書いて「まぁきゅう」と読む。いや、読ませる。(笑)
 いちおう「斑紋のある鳩」という意味だ。といっても、こんな種類の鳩がいるわけではない。種類としては、世に言う雉鳩(きじばと)。土鳩(どばと)と違って、ちょっと羽根模様が綺麗な種類。その雉鳩のことを書くのに、麻雀サイトのコラムだからむりやり麻雀と関係づけて麻鳩と書いただけ。(笑)

 我が家にも小さな庭がある。俗に言う坪庭というやつだ。数本の木が生えている。何年もほっておいたらずいぶんと大きくなった。それはいいのだが、少し困ったことがおきた。

 庭の一番奥に、ガスメーターがある。検針のために、係りの人は庭を横切って行かなければならない。しかし横に張り出した枝が邪魔になる。これでは申し訳ないので、先般、業者の人にお願いして、剪定してもらった(剪定というより伐採か・・・)。

 ある大枝をばっさりやった。枝がザワザワと落ちてくる。とたんに業者の人が「おおっ?」と云う。なにかと思って近寄ると、鳩の雛が2羽、切り落とされた枝の間にうずくまっている。どうやら生後1週間ぐらい。鳩が庭木の間を飛び回っていたのは知っていたが、営巣していたとは知らなかった。

 このままでは野良猫のエサになってしまうので、とりあえず器を用意して中にいれた。しかしそこからどうしていいか分からない。1日でもエサを食べないと死んでしまうかもしれない。家人に聞くと、車で10分くらいのところに小鳥屋があるという。そこで早速、鳩を抱えて車で走った。

 小鳥屋について雛(ヒナ)を見せると、「のど袋はエサでいっぱいだから、1日2日で死ぬことはない。巣があった木か手近の木に上手においておけば、たぶん親がエサを運んでくると思う」という。

もし親が来なかったら?」と聞くと、「その場合は人がエサをやるより仕方がないですね」という。そこでエサをしこたま買い込んで帰った。

 まずは巣のあった木にうまく戻してやろうと思ったが、すべての大枝をばっさりやった後。なにせσ(-_-)が、「思い切ってばっさりやってくれ〜」と言ってあったので、どの木も葉っぱの葉の字もなく、枯れ木とみまがう状態・・・・

 雛はまだむきだしの枝に止まれる状態ではないし、仮に止まれたとしても猫かカラスにやられてしまうのは目に見えている。おまけに昼と夜では、まだ寒暖の差が激しい。昼は直射日光、夜は夜露の攻撃では1日ももたないだろう。

 そこで切り落とした枝葉をかき集め、枯れ木状態の枝にディスプレーし、なんとか茂みらしきものを作った。それから毎日のように覗いていると、どうやら親鳩がエサを運んでいる様子。(おお、うまくいったぞ)とホッと一息。雛はどんどん大きくなり、2週間ほど経つと、親鳩と変わらない位の大きさとなった。

 或る朝、庭先で家人と「もうぼつぼつ、巣立ちじゃないか」と話していると、いきなりバタバタという音が。「おっ」とそちらを見ると、巣から鳩が飛び出し、そのまま地面に落ちるところだった。とたんに足元にいた我が家のバカ犬が、その鳩の方に一目散。そして一羽の鳩にガブッ....

 「あほっ!」と叫びながら駆け寄ると、飼い主様の剣幕に驚いて鳩を放り出し、庭の隅に逃げていった。鳩を抱き上げると、幸い背中の羽根がむしられているだけで身体にケガはなかった。そのまま巣に戻してやると、巣の中でブルブルしている。頭に来てバカ犬をぶっ飛ばしてやろうと振り返ると、急いで階段の下に逃げて行くところだった。。。

 巣立ち早々、とんだ目にあった麻鳩であったが、次の日、2羽とも無事、巣立っていった。

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