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    (221)貯水槽事件


 先日、名古屋市のあるマンションで、貯水槽に殺虫剤が投げ込まれていたという事件が起きた。かなり大きなマンションなので、貯水槽も大きい。貯水槽の上部には、点検整備のために、潜水艦のハッチのような形の蓋がある。

 誰かが蓋を開けて悪さをするといけないので、蓋にはカギが掛けてある。しかし犯人は蓋は無視して、上部の鉄板をなんらかの手段で破り、殺虫剤を投げ込んだ。いまだに犯人は分からない。いずれにしても、このマンションオーナーか住民に悪意を持つ者の仕業。それで、むかしの同じようなエピソードを思い出した。

 むかしσ(-_-)がつとめていた会社は、ビル管理なども行っていた。あるとき、そのビルの一つから、「水道水が油の臭いがする」という苦情がきた。そこで屋上にある貯水槽のとこまで行ってみた。

 貯水槽の蓋は今も昔も変わらない形。しかし当時はまだ水質管理も今ほどやかましくなかった。そこで蓋も強風などで開いたりしないように、簡単な掛けがねがしてあるだけ。掛けがねをはずして中を懐中電灯で覗いてみた。するとたしかに何やら油膜が....

 (おや?)というので、さっそく水道会社に連絡。キレイに清掃してもらった。それはいいが、どうして貯水槽に灯油が混入したか水道会社も分からない。分からないまま、ことは終了。ところがしばらくしたら、テナントからまた同じ苦情が....(へえ?)というので、また調べてみたら、また同じ状況。

 このときも理由は分からない。そしたら水道会社が「誰かが灯油を投げ込んでいるんじゃないですか?」と云った。しかしこっちは性善説の固まりなので、(まさか、そんなことが....もしテナントの誰かがそんなことをしたとしたら、自分も困るわけだし....)。

 それに屋上への出入り口は鉄扉でカギがかかっている。部外者は自由に出入りできない状況。それでも念のためと、とにかく貯水槽の掛けがねをカギ付きのものに換えた。といっても、ペンチで頑張れば、なんとかこじ開け可能なレベルのもの。

 それでとにかく灯油騒ぎは収まり、苦情もなくなった。それでもしばらくした頃、(いちど点検してみよう)というので屋上に上った。貯水槽のとこへ行ってみると、なんとカギが壊れて掛けがねが外れている。不思議に思いつつ中を覗くと、なにやら黒い物が浮いている。(ン...?)と思ってよく見ると、なんとこれがカラスの死骸!

 びっくり仰天して、また水道会社に連絡。キレイに清掃してもらった。しかしさすがに今度は性善説では、ことはすまない。どんなにカラスが利口でも、カギを壊して蓋を開け、水槽の中に身投げしたとは思えない。

 本来なら警察騒ぎだが、社長の意向もあって独自調査した。まず屋上出入り口の鉄扉は、頑丈なカギがかかっている。それ以外の方法となれば、ビルの壁面でものぼるしかない。しかしビルの壁面を5Fまで、カラスの死骸を抱えてよじ上るのはちと大変。

 ところがこのビル、隣のビルと高さが一緒。ちと冒険すれば、隣のビルの屋上から擁壁伝いに移動が可能だった。しかし隣のビルも、屋上への出入り口はこちらのビルと同じようなカギ付きの鉄扉。部外者やテナント関係者が簡単に屋上に出入りはできない。そこで犯人は、どうやら隣のビルの女性オーナーと判明した。

 しかしその女性は、かなりの恰幅。あの恰幅で、そんな危ない事をするかなあと思った。しかし事情を調べてみると、隣のビルのオーナーは、ちと常軌を逸した人物だった。(なるほど、彼女ならやりかねない)というので事情は分かったが証拠はない。

 そこで貯水槽のカギを、しっかり頑丈なモノに変えた。おかげでそれ以後は同様の被害はなくなった。しかしそれ以後、性悪説にも一理あると思うようになった....(-_-)

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