よく怪しげな話を持ち込んでくる知人がいる。数年前、その知人が、また怪しげな話を持ち込んできた。
「おひ、このパンフレットを見ろ」
「なんだ」
「広島のある人が、水で動くエンジンを開発した」
「・・・ひょっとして、それは水素エンジンか?」 「まぁ、そういったところだ」
「実用になると凄いな」 「ところがもう実用化されている」
「おぉ!、そいつはすごい!」
「ところが凄すぎて困ってる」
「?」 「これが自動車エンジンに採用されると、アメリカの自動車産業は壊滅する」
「ふ〜ん、そりゃあたしかに....」
「そこでアメリカ自動車業界から、広島の開発者に『もし、その発明で自動車エンジンを作ったら、お前を殺す』との警告がきた」
「・・・・GMやフォードから殺し屋が来るのか」 「バカだな、お前。アメリカの大問題だから、殺し屋はCIAから来るに決まってるじゃないか」
「う〜む・・・・(_ _;」
「それで発明を自動車エンジンに応用したくても出来ない」
「・・・・それならいっそのこと、アメリカにその発明を売ればいいじゃないか」
「いや、アメリカはすでにいままでのエンジンに莫大な金をかけている。急に方向転換なんかできない」
「ふ〜ん」
「それに世界の石油業界も関係してくる。アメリカだってヘタに手を出すと、世界的な大問題になる」
「・・・・」
「しかしそれではせっかくの発明が無駄になる。そこで開発者がアメリカと交渉した結果、オートバイのエンジンならOKということになった」
「ほ〜ぉ」 「それで今そのオートバイを作り始めている」
「・・・」
「完成して売りに出されれば、広島の会社の株価は暴騰する。しかしアメリカの妨害でなかなか銀行が金を貸さない。そこでいまは資金繰りが苦しい」
「・・・・」
「で、いまのうちにその会社の株を買えば大儲けができる。どうだ、お前、いまのうちに一口乗らないか」
「う〜む(のるかっ!)」 「絶対、儲かるって!」 「・・・・(絶対、損するってか)」
「お前、信用しないなら、この写真を見ろ」(古くさいスクーターの写真を出してきた)
「?」
「これはそのエンジンを積んで作ったスクーターの試作品だ」 「ふ〜ん」 「もうここまで出来ている。あとは改良を加えてバイクを作るだけ」
「ま、しかし俺は金が無いからいいよ・・・・」
「バカだな、お前。このバイクは秋には売りに出されるんだぞ。それで事がおおやけになってからでは 株はお前に回ってこんぞ」
「それでもいいよ。じゃあオートバイが秋に売りに出されるのを楽しみにしてるから」
それから5,6年経つが、まだそのオートバイは売りに出されていない。やはりアメリカの妨害か・・・・(笑)
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