Tile colection 珍奇牌

    (19)福建牌


 中国では「国」の次に大きい行政単位は「」。一つのは、日本より広い。日本でも鹿児島県人と青森県人がまともに話をすると、たぶん言葉が通じない。中国では、それどころではない。が違うと、国が違うといっていいくらい。そこで多くの中国人は、バイリンガルだ(自国語と共通語(北京語)を話すことができる)。

 で、そんな「」のなかの太平洋側、ちょうど台湾とお向かいの位置に福建省というところがある。これは、その福建省で使用される麻雀牌。そこで分類上、福建牌と呼ばれる。


 風牌が真っ青、緑發のグリーンも鮮やかなど、カラフル and 綺麗であるが、合成樹脂牌なので、そのように色付けしてあるだけ。福建牌の特徴はそんなことではない。見た通り、万子が一萬九萬ではなく、一品〜九品となっている。

 麻雀は中国のいろいろなゲームと融合取捨して今日の形となった。そのいろいろのゲームの一つに昇官牌という4スート210枚の牌からなりたっている骨牌ゲームがある。その昇官牌に、「」というスートがある。

 昇官牌の技法はつまびらかではないが、基本的には出世ゲームみたいなもの。そして「」は、宮廷における「九品(きゅうほん)」の位階を表している。すなわち福建牌は、麻雀の古い形を残している牌である。

 これは香港で購入した牌であるが、いま云ったように合成樹脂牌。しかし福建牌には約束、つまり「こうなっていること」というポイントがある。もちろん万子品子であることは最重要。

 また一つは、字牌が 東南西北發中ではなく、別な字が彫られていること(白はそのまま)。次が花牌に彫られた文字が、字牌と連動した意味であること。最後が1索が上向きに飛ぶツバメであることである。

 この樹脂牌は新しいものなので字牌は東南西北發中、そして花牌も春夏秋冬・梅蘭菊竹と、ごく一般的。しかし上向きツバメというという約束は、守られている。

     

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