チーポン08・ツケ牌ミス
この前 友達とゲームしてたとき、自分の切った を下家が でチーしました。そのあと自分は でテンパイしたのでリーチしました。ところがリーチしてから下家のチーをみると、自分の切った ではなく、 がチーされた牌のようになっていました。 →
直してもらいたかったのですが、いま云うと待ちがバレてしまうので黙っていました。そのうち をツモったので「ツモッ」と云って上がりました。そしたら対面が、「フリテンリーチはチョンボだ」といいました。自分は、「フリテンではない」と言いましたが、対面は「下家のチーが証拠だ」と云って聞きません。
自分は、「あれは下家の間違いで、自分には関係ない」と云いましたが、下家は「覚えていない」と云います。結局 話がつかず、ケンカ別れになりました。いまでも自分が正しいと思っていますが、本当のところ、どうなんでしょうか。(ビッター)
あさみ
このようなトラブルの場合、一般的には「間違ったツケ牌(錯指示)をした下家のチョンボ」とか、「間違えた下家と、間違いに文句を言わなかった本人でチョンボ料折半」とか、さまざまなルールがあります。 もちろんルールはさまざまなので、それはそれで問題ありません。しかし競技性を重視した麻雀では、このようなトラブルは一事不再理という原則で処理されることが多いのです。
この原則を分かりやすく云うと、「間違いは発生した時点で訂正されなければいけない。訂正されないまま次の事案が発生してしまった場合、以前の間違いは間違いではなかったとして処理する」というものです。そこで例題のケースをこの原則にしたがって考えた場合、結論は次のようになります。
もしビッターさんがリーチをした時点で「下家のツケ牌は間違っている」と気がついたら、少なくともその時点で間違いを指摘しなければいけません。もちろんその場合、たしかに“マチがバレてしまう”危険性は大きいと思います。しかし「リーチするまで気がつかなかった」ということ自体、大きな落ち度なのです。
捨て牌は、たとえ不要として捨てた牌であっても自分の捨て牌です、とうぜん自分に責任があります。たとえチーポンされなくても、どこで自分に関係してくるか分かりません。逆にカンチャンやペンチャンマチのとき、捨て牌が大いに役に立つかもしれません。このケースでも、もしビッターさんのマチが嵌であれば、下家の間違いを苦にするどころか 逆にシメシメと思うかも知れません。
このようなツケ牌ミスの指摘は、それを捨てたプレーヤーしか出来ないというわけではありません。同卓プレーヤーであれば、誰でも気づいた時点で指摘できます。ところが下家がツケ間違いをしたとき、誰も指摘しませんでした。そしてその局の終了(アガリの発生)を迎えてしまった。これは本人を含めた全員が、下家のツケ牌を正当なものとして認めて進行させた結果と言うことになります。
そして この時点での証拠は、対門さんの云うとおり下家のチーの形しかありません。そこでビッターさんはフリテンリーチをしたことになり、フリテンリーチは不可と云うルールである以上、ビッターさんはチョンボということになってしまうわけです。そしてまた、南家はゲーム中 なんのクレームも受けなかったわけですから=何のペナルティも無いことになります。
ロボカイ 2011.08.20
お久しぶりです。ちょっと質問があってメールしました。
先日、シンリン雀荘であったことです。
あるプレーヤーがチーした牌の方向指示を間違えてしまいました。誰も何も言わなかったので そのまま進行したのですが、その人がアガったときに他プレーヤーからチョンボと指摘されました。
韓国麻雀連盟の標準規則を悪用したことですが、これがはたして正しいか分からないんですね。日本では普通どうするか、そしてこの場合はどうすればいいでしょうか。
あさみ 2011.08.22
こんにちわ、ロボカイさん(^^)/
“何が正しいか”というのは考え方にもよるので難しいのですが、云うなら「よりベターな解決法」ということになりますね。もちろん日本でも団体やグループによって さまざまなルールがあります。その中には韓麻連と同じように、「誤った方向指示をした状態で和了したらチョンボ」というルールもあると思います。しかし現在の日本の団体やグループでは、 このようなトラブルを「一時不再理」という原則にのっとったルールで処理するることが多いと思います(純麻雀でも この方式を採用しています)。
この原則を一言で云うと、「何かの間違い(ミス)が発生した時点で 同卓プレーヤーが誰も指摘しなかった場合、以後、それは間違いではない=正しいと認定されたことにする」というものです。
そこで今回の問題を この原則にあてはめて考えてみますと、チー牌が間違えて副露された、あるいはポン牌の方向指示が間違って副露されたという時点で、誰も“間違い”を指摘しなかったならば、その表示は同卓プレーヤー(=審判)によってが間違っていないと認定されたことになってしまうのです。そして“正しい”とは云わないまでも、“間違っていない”と認定された以上、後に そのプレーヤーが和了することに何の問題もないことになります。
もちろん副露の時点で“間違い”という指摘を受けた場合、直ちに訂正しなければならないのは当然です。そして間違いの指摘を受けた場合、ゴメンゴメンで済むこともありますが、ペナルティを受けることもあります(純麻雀では「その局、ツモアガリのみ」というペナルティとなります)。
チーやポンした牌の表示ミスについては、この「一時不再理」という原則にもとづいたルールが、現在の日本の競技麻雀では多く採用されていると思います。
ロボカイ 2011.8.30
こんばんは、ロボカイです。
表示が間違った時に対する件について、追加質問です。
1.表示が間違った場合、直しは出来るか。
2.直しが出来るなら、いつの時点まで出来るか。
3.事後に明らかに間違って表示されたチーはどう処理するか。
ご返事よろしくお願いします。
あさみ 2011.9.02
こんにちわ、ロボカイさん
1.表示が間違った場合、直しは出来るか。
2.直しが出来るなら、いつの時点まで出来るか。
もちろんミスは“発生時点”で指摘し、訂正されるべきであることは云うまでもありません。そしてこのケースでの“ミスの発生時点”とは、厳密に云えば「当該プレーヤーが誤表示を行なった時点」、少なくとも「次のプレーヤーが取牌を行う以前」ということになります。
しかし実際には、チーに副露から不要牌の打牌までは一瞬です。そして下家は直ちに自分のツモを行うか、他プレーヤーはチープレーヤーの打牌をチーポンしたりします。そこで他プレーヤーがハッと誤表示に気がついた時には、すでに状況は次の段階になっていたという事になりがちです。すなわち一事不再理の原則をあまりにも厳密に適用して考えると、現実には“誤表示の訂正は不可能”ということになりかねません。
そういう現実的な状況を考え、純麻雀では“訂正可能時点”を「当該プレーヤーの次回取牌以前」(第19条3項)としています。一般的に云えば、「1巡以内」ということになります。そして1巡以内としたのは、さすがに何巡も経過してからでは 各プレーヤーの記憶も曖昧になると思われるからです。
ただ留意しなければならないのは、この“1巡”とは、単純に“ツモ番が1周するまで”という意味ではないということです。すなわち「取牌」には、ツモ以外にチーポンによって牌を取得することも含まれています。そこでAさんが誤表示をしたあと、次回のツモを行う前に他家の牌をチーポンすれば、その段階で“次回の取牌が行われた”ということになり、その時点でAさんの誤表示は有効として成立”ということになる点です。しかし純麻雀では、このルールで支障が生じたことはありません。
3.事後に明らかに間違って表示されたチーは、どう処理するか。
これはチーポンが正しく表示されたあと、何らかの理由で いつの間にか表示が変更されていたと云うことですね。もちろん表示された牌が勝っ手に移動するわけはないので、これはチーポンしたプレーヤーが意図的に行なったと思われます。
もちろんそのような事を行なっても、その局のゲームには何の影響も及ぼさないかも知れません。しかし「いつの間に そうなっていたか分からない」ため、意図的に行われた表示変えが有効となってしまうと云うのでは釈然としないのは確かです。
そこで誤表示の訂正可能時点を「1巡」ではなく、「アガリが発生する以前」とするのも一方法と思います。そのようにすれば誤表示の直後に当該プレーヤーのチーポンがあった場合でも、表示の訂正が可能です。ただしそのようにした場合、理屈上では“正しい表示にクレームをつけ、“表示のし直し”を要求することもできるなんてことも出てきます。※非常に大きな手をテンパイしたが、フリテンだった。そこで他家に“自分は○○を捨てていない”とクレームをつける....もちろん これは あくまで理屈上の話。現実には こんな不バカなクレームがつけられることはないと思いますが。(^-^;
いずれにしても何巡も経過したあとではプレーヤーの記憶も曖昧になっています。そこでアガリ以前であれば表示直しを認めるという場合には、全プレーヤー合意ではなくても、最低3プレーヤーの合意を必要とすべきと思います(意見が2対2では決着がつかないので)。
細かく見ると、訂正可能時点は「一巡以内」とした場合でも、「アガリが発生する以前」とした場合でも、どちらにも多少のン?な点があります。後は どちらをよりベターとするかということだと思います。