薔薇と酔っぱらい |
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真夜中過ぎ、窓の外で酔っぱらいの声がする。
何か悪さをされると嫌だなぁ。。と、そっと窓を細く開けてみた。
「あ〜〜!あった、あった、ここだよ」
どうやら女性らしい。
「ほらー、ここがねぇ、きれいに咲くんだよ〜!
でも、まだ蕾だね、咲いてないや〜
お母さん場所わかった?」
母娘の酔っぱらい?
「ほら〜、いっぱい蕾があるじゃない!」
「あ・・・あ・・・」むにゃむにゃガサガサ
「ああ〜〜」
お母さん!!まだとっちゃダメだって!
蕾じゃ咲かないよ!
ダメだって!!
シー!シー!・・・
お母さん、ダメだよ!」
充分大声だって・・・(^^ゞ
「咲くまで後1週間ぐらいかなぁ。。
そうしたらまたとりに来ようよ。
場所わかった??
ここがねぇ、咲くときれいなんだよ〜
また来ようね・・・ 」
「あ・・・あ」むにゃむにゃ
私は部屋の中で笑いをこらえて聞いていた。
うちの窓には灯りもついているというのに
なんとも大胆な泥棒である。
母娘の酔っぱらいは、ひとしきり騒いで帰って行った。
どうやら、フェンスのピエール・ド・ロンサールは
1週間後には手折られる運命にあるらしい。。
まぁ、街角の薔薇としては仕方ないか。。
でも、楽しみにしてくれている人がいると思うと、ちょっと嬉しい。
それにしても・・・・母娘で酔っぱらって薔薇の枝を採りに来るなんて・・
きっと仲のよい二人なんでしょうね。(^^)
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ピエール・ド・ロンサール |
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