不思議ハウス
私が今住んでいる家は、夫の生家である。
立派であるが、不思議な家だ。
私は、初めてこの家に来て以来、そんな感じを受け続けている。
この家がいかに奇妙かというと、改築から10年以上経つというのに、未完成なのである。
3階には電気がない。照明器具すらない。
2階の広間はタタミがない。押入れに戸がない。もちろん電気もない。
廊下には電気のスイッチがあるが、何処にも繋がっていない。
私が嫁に来る前までは、玄関すら未完成で、カベも下地むきだし、床はコンクリートだった。
他にも未完成だらけだったが、私が嫁に来るにあたって、築10年経ってやっと、未完ながら今の姿までになった。
しかし、それ以上にキテレツだったのはインテリアだった。
部屋の壁には、頂き物に付いていたと思われる大量のリボンが、そのままのカタチで一面に画びょうで留められていた。本当にすごい数だった。
客間の違い棚には、横浜のペナントの前に鎮座する七福神、{¥100}のシールの付いたままの花瓶に、これまた100円シールの付いた造花。
それらの前には「旅立ち」と題された義父の写真が置かれている。
そしてその両端には、義父の「旅立ち」を祝うかのような「ヒョットコとオカメ」である。
そういえば夫が言っていた。
義母が以前美容室を営んでいたとき、店にはツキノワグマの剥製が仁王立ちしていたと。
「仁王立ち」である。
私ならその横で髪を切ってもらう様な勇気はない。
そして、棚の上に飾られたマムシのクシ刺しにも、当然怯えるところだろう。。
まぁ、とにかくそんなカンジの家なので、玄関脇の花台で信楽焼のたぬきが
{お母さんありがとう} というプラカードを持って立っていたりするのだ。

そういえば、私の部屋の襖にも、私がやってきて入ったもので、当時その襖絵には度肝を
抜かれたものだった。
襖絵は「真っ青な空に白い雲、そこにヤシの木がズラリ」といったもので、
ブリティッシュ好みの私の部屋でそこだけがトロピカル。
しかも、夜電気を消すと、なんとその絵に花火が浮かび上がったのだ。
冬でもその一角だけは、常夏の島の様である。
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