１．所在地
２．宗派
３．草創･開基
４．創建時の伽藍配置
５．その後の変遷

６．その他
７．現在の境内
８．古寺巡訪MENU

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（１）伽藍配置

発掘調査によって創建時の観世音寺は、約１７０ｍ×１７０ｍの寺域を塀（形式は詳細不明）で囲い、南に南大門、北側に北門を設け、その寺域の内側に、下の模型のとおり中門左右からでた廻廊が講堂に取り付き、その内側に東に塔、西に東面する金堂を置くという観世音寺独自の伽藍で、「観世音寺式」と呼ばれている。
　なお、この伽藍配置は、661〜670年の間に建立された推定されている飛鳥の川原寺の伽藍配置に、金堂が東面して建てられていることや、僧坊が講堂の北側に建てられている等、多くの類似点があり、観世音寺は川原寺を参考にして建設されたのではないかと考えられている。

（２）出土瓦

発掘調査によって”老司 I式瓦”といわれる瓦が大量に出土した。この瓦は、太宰府政庁跡では発見されておらず、観世音寺専用に制作されたものと考えられている。なお、”老司 I式瓦”と文様が類似する瓦は、大和の「本薬師寺（681年発願697年完成）」、「藤原宮（697-710）」で使用されている。このことから”老司 I式瓦”の制作時期はほぼ同じ頃であろうと推定されている。
   また、これとは別に飛鳥川原寺創建時（661-670頃）の丸瓦が発見されている（一個のみ）。もしこの瓦が”老司 I式瓦”の祖型であれば、制作年代が遡る可能性も指摘されている。
　いずれにしても観世音寺と飛鳥川原寺との間には密接な関係があったことが出土瓦でも裏付けられたということになる。

（３）飛鳥川原寺と深い因縁を持つ観世音寺と天智天皇

  観世音寺は、創建目的（いずれも斉明天皇の菩提を弔う）、そして発願者（いずれも天智天皇と推定される）が飛鳥川原寺と同じであることから、伽藍配置や出土瓦が同系統に属するのは当然といえば当然であるが、しかし、天智天皇が観世音寺に込めた思いは、飛鳥川原寺とは少々異なり、「白村江の戦い」の大敗によってもたらされた唐・新羅来襲から、大和朝廷を護りたいという鎮護国家への切羽詰まった祈りがより強かったのではなかろうか。

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（１）「府の大寺」と呼ばれた観世音寺

観世音寺は、その造営は太宰府によって行われ、完成後もその庇護を受け、太宰府にあった筑前国分寺、国分尼寺、四王寺、安楽寺、大山寺、般若寺、塔ノ原廃寺、杉塚廃寺等の筆頭寺院として重きをなした。

（２）戒壇院の設置

さらに、天平宝字 5年(761)　観世音寺に戒壇院が置かれた。これは観世音寺が西海道諸国の僧尼の官僧資格付与権限を一手に握ったこととなり、太宰府が軍事・政治面で西海道諸国をおさえ、観世音寺は、その諸国の仏教界を統括・支配を担ったといえる。

（３）観世音寺は太宰府と運命共同体

このように観世音寺の盛衰は全て太宰府の西海道に於ける権勢の盛衰とともにあった。
続日本紀　神護景雲３年（769）１０月条に太宰府は「人や物が多く賑やかで天下有数の都会」と述べられ、太宰府が東アジアに開かれた玄関口として人・物・金が多く行き交い文治ともに大きく華やいでいたことが伺える。観世音寺もこのころから数十年は絶頂期であった。

（４）藤原純友の乱により太宰府焼亡する

ところが大和朝廷の対東アジアへの緊張感がゆるみはじめ、律令国家体制が内部から崩れ始める平安京遷都の約１５０年後の天慶4年（941）藤原純友の乱によって太宰府が焼き払われ、観世音寺もその軍勢によって宝物が奪われるという事件が起こる。これは大和朝廷によって制圧され、太宰府もその後再建（第三期太宰府政庁）されるが、その権勢の衰退は明らかであった。

（５）観世音寺、主要堂舎焼亡する

そうした太宰府の衰退が進む中で、康平7年（1064）観世音寺は、講堂、塔、回廊、僧坊が火災によって喪失させる。この火災によって創建時の主要堂舎が焼失し、同時に安置されていた仏像も灰燼となった。現在、観世音寺に残る多くの仏像は、この火災以降に復興されたものである。これ程に康平7年の火災は観世音寺のとって大きな痛手となった。しかし、これも太宰府の力によって徐々にではあるが再建されるが、不幸にもその後も度々大風によって堂舎の倒壊に見舞われる。

（６）東大寺末寺となる

中央では、1086年、白河天皇が上皇となって院政を始め、1095年、院に北面の武士を置いた。いよいよ武士が台頭しはじめたころである。この頃、既に太宰府に往時の力は無く、拠り所を失った観世音寺も次第に寺領を失い、遂に保安元年（1120）東大寺の末寺となるまでに衰退する。そして建久3年（1192）鎌倉幕府が開かれ、嘉禄2年（1226）鎌倉幕府の鎮西奉行武藤資頼が太宰少弐を兼ね、太宰府は完全に武士の支配下に置かれた。こうして名実ともに観世音寺は一地方の東大寺末寺として細々と法灯を守っていくこととなった。

（７）観世音寺の復興

1603年、江戸幕府が開かれ、世も安定期に入る。寛永7年（1630）、観世音寺で唯一残っていた金堂が大風によって倒壊し廃寺同然の危機に陥った。だが、これも翌年地元信者などの力によって再建されるものの、以降も厳しい状況が依然として続いた。その後、元禄元年(1688)福岡藩三代藩主黒田光之が豪商天王寺屋等に命じて講堂を再建するなど復興に尽力し、一応の寺観を整え、以降現在に至っている。

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• 観世音寺の梵鐘は、菅原道真が太宰府に左遷され、その居住地「府の南館」で詠んだ漢詩「不出門」の一節「都府楼はわずかに瓦色を看、観音寺はただ鐘声を聴く」や、小説家長塚節が亡くなる前年に詠んだ「手をあてて鐘はたふとき冷たさに爪叩き聴くそのかそけきを」などから、古より「観世音寺の鐘」として広く知られている。
  

• この梵鐘は、京都市右京区花園にある妙心寺梵鐘、奈良県当麻寺の梵鐘に並んで日本最古の梵鐘だとされ、また、妙心寺の梵鐘と観世音寺の梵鐘は同じ型で鋳造された「兄弟の鐘」であると検証されている。制作年代は、妙心寺梵鐘がその銘から文武天皇2年(698)と明らかになっており、観世音寺梵鐘もその前後と考えられている。
  
  
• 制作場所は、観世音寺梵鐘に刻まれている「上三毛」から、鋳造技術に長けた朝鮮半島からの渡来人が多く居住していた現在の福岡県築上郡と推定され、妙心寺梵鐘はこの地より平安京へ遙々と運ばれたといえる。
  

• 現在もこの観世音寺の梵鐘は鐘楼に吊されており目にすることができる。さすがに突かれるのは大晦日と９月22日の太宰府天満宮神幸式の夜のお下りの時の年二回に限られているが、１３００年前に鋳造され、道真が聴いた同じ鐘の音を今も聴くことができる。なお、この梵鐘は国宝に指定されている。

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