仏教伝来 552
- 欽明天皇13年（552）（538年説もあり）百済の聖明王から、釈迦仏の金銅像一体、荘厳具、経論数巻および聖明王の仏教が如何に深遠で広大無辺の教えであり、この法に従えば無上の安息、どのような願いでも叶えられるとした文が欽明天皇に送られた。
- これを受けて欽明天皇は、蘇我大臣稲目宿禰、物部大連尾輿、中臣連鎌子に検討させた。
- 結果、蘇我大臣稲目宿禰は積極的な受け入れを、物部大連尾輿、中臣連鎌子は仏教を受け入れることは我が国古来からの天地の社の百八十の神々をないがしろにし、神々の怒りを呼び起こすとして強行に反対した。
- 蘇我氏と物部氏の対立はその後も続き、用明天皇 2年蘇我馬子（稲目の子）は河内の物部守屋（尾輿の子）の本拠を襲い物部氏を滅ぼした。
- この戦には用明天皇の皇子である聖徳太子が蘇我氏側に付き参戦した。
- この結果、蘇我氏の権勢は強大化し、年蘇我氏が推す推古天皇（聖徳太子の叔母）が即位し、聖徳太子は摂政となる。
- この2年後の594年、聖徳太子は「三宝興隆の詔」を宣し国教として正式な地位を確立することとなった。
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遣隋使 600-614
- 随に派遣した朝廷の使節。
- ６００年から６１４年まで５回派遣された。
- 第一回６００年、第二回６０７年、第三回６０８年、第四回６１０年、第五回６１４年。
- 聖徳太子の有名な国書「日出るところの・・」は、６０８年第三回目で使節は小野妹子。
- 第三回以降には、高向玄理（たかむくのくろまろ）、僧旻（そうみん）らが留学生、留学僧として同行して随の国家制度、文化、諸技術などを学び、帰国後日本の発展に大きく貢献した。
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- 飛鳥時代前期に建立された寺院
- 蘇我馬子によって日本最初の本格的仏教寺院・飛鳥寺が推古四年(596)に完成した。完成した飛鳥寺には今まで見たことも無い大陸文化が凝縮され具現化されていた。これに当時の有力豪族たちを魅了されたのであろう。飛鳥寺完成以降に有力豪族が競って寺院を建立した。それら豪族の氏寺として建立された寺院は凡そ以下のとおりである。
| 国名 |
寺院名 |
後援者 |
| 大和 |
斑鳩寺 |
聖徳太子 |
| 豊浦寺 |
聖徳太子 |
| 法起寺 |
聖徳太子 |
| 中宮寺 |
聖徳太子 |
| 奥山久米寺 |
久米臣 |
| 葛木寺 |
葛城臣 |
| 軽寺 |
軽臣 |
| 横井廃寺 |
中臣連 |
| 法輪寺 |
膳臣 |
| 巨勢寺 |
巨勢臣 |
| 平郡寺 |
平郡臣 |
| 御所増廃寺 |
不明 |
| 片岡王寺 |
大原史 |
| 豊田廃寺 |
東漢値 |
| 山城 |
高麗寺 |
狛造 |
| 北野廃寺（白梅廃寺） |
秦造 |
| 河内 |
渋川寺 |
物部連 |
| 衣縫廃寺 |
衣縫造 |
| 新堂廃寺 |
錦部造 |
| 摂津 |
四天王寺 |
聖徳太子 |
出典；2010.6.18発行KKベストセラーズ刊 武光誠著「教科書が教えてくれない「奈良」歴史の謎」P83
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太子建立七大寺
「上宮聖徳法王帝説」「法隆寺伽藍縁起并流記資材帳」に以下の寺院が聖徳太子建立寺との記録があることから呼称されることなった。
- 四天王寺 大阪府大阪市天王寺区四天王寺1丁目１１番１８号
- 法隆寺 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺寺山内１－１
- 中宮寺（中宮尼寺） 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺北１－１－２
- 橘寺 奈良県高市郡明日香村橘５３２番地
- 蜂岡寺（広隆寺） 京都府京都市右京区太秦蜂岡町３２
- 池後寺（法起寺） 奈良県生駒郡斑鳩町岡本１８７３
- 葛城寺（葛城尼寺） 現存せず。遺構については諸説あるも未確定
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飛鳥三大寺
- 大官大寺・・平城京遷都後移建され大安寺と改称
- 川原寺・・・平城京遷都後も官寺に準ずる大寺にも拘わらず移設されず
- 飛鳥寺・・・平城京遷都にともない平城京に元興寺として移されるが飛鳥寺は本元興寺として存続
（根拠：日本書紀 天武天皇十四年九月甲辰の朔の丁卯（２４日）の条）
飛鳥四大寺
- 大官大寺・・平城京遷都後移建され大安寺と改称
- 飛鳥寺・・・平城京遷都にともない平城京に元興寺として移されるが飛鳥寺は本元興寺として存続
- 川原寺・・・平城京遷都後も官寺に準ずる大寺にも拘わらず移設されず
- 薬師寺・・・平城京遷都後も本薬師寺と残り、平城京には新設薬師寺が建立された
（根拠：:続日本紀 文武天皇大宝二年（７０２）十二月二十五日の条）
飛鳥五大寺
- 大官大寺・・平城京遷都後移建され大安寺と改称
- 川原寺・・・平城京遷都後も官寺に準ずる大寺にも拘わらず移設されず
- 飛鳥寺・・・平城京遷都にともない平城京に元興寺として移されるが飛鳥寺は本元興寺として存続
- 小墾田寺・・平城京遷都後も移設されず
- 坂田寺・・・平城京遷都後も移設されず
（根拠：日本書紀 持統天皇称制十二月十九日の条）
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乙巳の変（いっしのへん）（大化の改新） 645
- 当時、最大の実力者であり、蘇我本宗家であった蘇我蝦夷、入鹿親子は、蘇我本宗家のより勢力を拡大させるべく次期大王として舒明天皇の子で蘇我馬子の娘を母とする古人大兄皇子を推していた。
- これに対して蘇我本宗家の勢力を押さえ大王（天皇）への権力集中を図りたい中大兄皇子、中臣鎌足、そして蘇我本宗家を葬り去りそれに取って代わりたい蘇我倉山田石川麻呂（蘇我入鹿のいとこに当たる）は、皇極天皇（舒明天皇の太后）の実弟である軽皇子（孝徳天皇）を擁立しようとしていた。
- この対立は645年6月、中大兄皇子のグループが蘇我入鹿を飛鳥板蓋宮におびき出し謀殺、翌日、蘇我蝦夷は自邸に火を放ち自害し、あっけない幕引きとなった。まさに宮廷内クーデターといえるものであった。なお、乙巳の変とは、起きた年の干支が乙巳であったことによる。
- ところで「大化の改新」とは、このクーデターそのものではない。即ち「大化の改新」とは、中大兄皇子（天智天皇）が目指した天皇による中央集権国家の成立への期初となったという意味と考えるのが正しいと考えるがどうであろうか。
- なお、「大化の改新」については研究者により「あった」「なかった」と、諸説がある。また「大化」という元号は、唯一日本書紀に記載されている以外に、木簡などの裏付けになるものはなく、果たして実際に当時使用されていたのかそれ自体を疑問視する研究者も多いことも留意しておきたい。
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班田収授の法 646
- 班田とは、律令制の原則である土地は公有という考え方を基本に、国が良民男子二段、良民女子一段一二〇歩（良民男子の三分の二）の事例のように、一定の規則に従い農地を与え、もしその者が死亡した場合は没収するというもので、その班田には当然租税負担が伴った。これは唐の均田制に倣ったものといわれる。
- この班田制については日本書紀巻第二五の改新の詔に「その三にいう、はじめて戸籍・計帳・班田収授の法をつくる。」とある。このためこの「改新の詔」から班田収受制度がはじまったと見える（大化２年１月（６４６））
- しかし、この制度は明確な規則（令）と、正確な戸籍そして土地の正確な計帳に基づく区画整理の実施があってはじめて実行可能であるところから、実際に実行されたのは持統朝の浄御原令（持統天皇４年（６９０））によってからという説が現在では有力となっている。
- なお、全国的な戸籍は浄御原令の２０年前の天智天皇９年（６７０）に作成されている。
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白村江の戦い 663
- 百済は、６６０年に新羅、唐の連合軍により滅ぼされ、唐の支配下に置かれる。
- しかし百済の遺臣鬼室福信が百済国再興を目指して挙兵して抵抗し、同盟関係あった倭国に救援を要請する。
- これを受け斉明天皇は百済救済を決意。６６１年斉明帝自らが救援軍を率いて出立するも、築紫で崩御される。
- 斉明天皇崩御後は皇太子中大兄皇子が称制し、引き続き救援軍の整備増強を図るとともに、百済国の人質であった百済の義慈王の王子豊璋に大織冠を与え百済王に任じ本国に送還する。そしてついに６６３年、４００余船、兵士２７０００人の大規模な救援軍を派遣する。
- ６６３年８月２７日、白村江において唐・新羅軍と激突した。しかし翌２８日の二日に渡る海戦の末、軍勢では圧倒的優位にもかかわらず救援軍は敗北し、白村江は救援軍の血で真っ赤に染まったと言われるほどの完敗であった。
- この敗戦により倭国は、朝鮮半島への足がかりは失ったばかりか、大国唐の脅威に対する防衛網を整備せざるを得なくなり、対馬、築紫から大和までの狼煙台の設置や防人を配置したのをはじめ水城も築城、さらに６６７年には近江大津へ遷都するまでにいたる。
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壬申の乱 672----作成中
壬申の年(672)6月24日大海人皇子が挙兵、同年7月23日近江大津宮陥落、大友皇子自害。
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都の遷移一覧表
| 天皇名 |
在位期間 |
遷都年 |
宮名 |
使用期間（年） |
| 推古 |
592-628 |
592 |
豊浦宮 |
11 |
| 603 |
小墾田宮 |
26 |
| 舒明 |
629-641 |
629 |
小墾田宮 |
2 |
| 631 |
飛鳥岡本宮 |
5 |
| 636 |
田中宮 |
4 |
| 640 |
厩坂宮 |
1 |
| 641 |
百済宮 |
1 |
| 皇極 |
642-645 |
642 |
百済宮 |
1 |
| 643 |
小墾田or飛鳥板蓋宮 |
3 |
| 孝徳 |
646-654 |
646 |
小墾田or飛鳥板蓋宮 |
2 |
| 648 |
難波長柄豊崎宮 |
7 |
| 斉明 |
655-661 |
655 |
飛鳥板蓋宮 |
1 |
| 656 |
飛鳥川原宮 |
1 |
| 657 |
飛鳥岡本宮 |
4 |
| 661 |
朝倉橘宮広庭宮 |
1 |
| 天智 |
662-671 |
662 |
小墾田or飛鳥 |
5 |
| 667 |
近江大津宮 |
5 |
| 弘文 |
672 |
1 |
| 天武 |
673-686 |
673 |
飛鳥浄御原宮 |
14 |
| 持統 |
687-697 |
687 |
飛鳥浄御原宮 |
8 |
梅原猛著「飛鳥とは何か」集英社文庫より
| 天皇 |
在位期間 |
遷都年 |
京名 |
使用期間（年） |
| 文武 |
697-707 |
694 |
藤原京 |
15 |
| 元明 |
707-715 |
| 710 |
平城京 |
75 |
| 元正 |
715-724 |
| 聖武 |
724-749 |
| 740 |
(恭仁京) |
| 744 |
(難波京) |
| 745 |
平城京 |
| 孝謙 |
749-758 |
| 淳仁 |
758-764 |
| 称徳 |
764-770 |
| 光仁 |
770-781 |
| 桓武 |
781-806 |
| 784 |
長岡京 |
10 |
| 794 |
平安京 |
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藤原不比等 659-720
- 中臣鎌足の第二子。659年誕生、720年（養老4年月3日）没。
- 697年、草壁皇子の息子である軽皇子（文武天皇）擁立の功績により また文武天皇に娘宮子を嫁がせ、皇子（聖武天皇）が誕生、さらに橘三千代との間で生まれた光明子（後の光明皇后）を聖武天皇に嫁がせ
閨閥を築き、権力を手中に収めた。
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平城京遷都 710
- 平城京は、藤原不比等がほぼ全面的に主導した遷都といわれ、元明天皇元正天皇に代表される時の天皇家はこの遷都は不本意なものであったといわれている。
- これが聖武天皇の度重なる遷都への伏線ともなっていると考える史家もいる。
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道昭 629-700
- 生没年
- 舒明天皇元年（629）－文武天皇4年（700)
- 系譜
- 河内国丹比郡（たじひ）の人で、俗姓は船連、父は少錦下（従五位下相当）の恵釈（えさか）である。
- 略伝
- 「続日本紀」 天武天皇4年3月10日の項によると以下の通りである。
- 653年に遣唐使に随行して入唐、玄奘三蔵に法相を学ぶとともに、禅定（座禅）を学んだ。
- 帰国し、元興寺（飛鳥寺）の東南の隅に禅院を建てて住み、多くの学僧を教育した。
<注１> 帰国の時期について「天平の僧 行基」千田稔著 中公新書では、「帰国の時期は不明だが、斉明天皇6年（660）または7年ごろ、遣唐使坂合部石布（さいかいべのむらじいわしき））に同行したらしい」とされている。
- その後、各地を周遊して路の傍に井戸を掘り、各地の渡し場の船を作り、また橋を架け社会事業を行った。
- この周遊は十余年にも及んだが、寺に還るようにとの勅によって元興寺に戻る。
- そして、元興寺禅院にて72歳の生涯を閉じた。
- 天皇（文武）はそれを大変惜しんで使いを遣わして弔い、物を賜った。
- 弟子たちは遺命に従って栗原（高市郡明日香村栗原）で火葬としたが、天下の火葬はこれから始まった。
特記事項
- 道昭は、法相宗を日本へ最初に伝えた僧としてよく知られている。
- 道昭の十余年にも及んだ社会事業について、日本史史料［１］古代 岩波書店 歴史学研究会編では以下の通り解説されている
「7世紀半ばになると、それまで王権によって主導されてきた造寺・造仏は、地方豪族層に拡大し、中略）各地に氏寺を造営していった。こうした仏教の普及の中で、僧たちの中には、衆生の救済を実現しようとする大乗仏教の菩薩道を実践しようと、造道、造橋などの社会事業を行うものも登場してきた。道昭の社会事業もその一つである。」
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道慈 ？-744
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遣唐使 630-894
- 舒明２年（６３０）から寛平６年（８９４）までの２６４年間に失敗を含めて１９回（２０回説もあり）、延べ5000～6000人が航海した。
- しかし、実際に入唐し帰国できたのは60％程度と言われ、遣唐使一行はまさに決死の覚悟でこれに挑んだといえる。
- 遣唐使船は、ほとんどが夏に難波津を出港している。なぜ、台風などが充分に予測されるこの時期に敢えて出港したのか。理由は、翌年元旦の「朝賀の儀」で唐の皇帝に謁見することを前提に旅程が組まれていたためといわれている。
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- ＜参考＞第18次遣唐使(804年）について
- ○藤原葛野麻呂を遣唐大使とする第18次遣唐使は日本の「真言宗」「天台宗」という二大仏教にとって根幹をなすものである。
○留学生として空海、最澄、橘逸勢が同行していたからである。それに加えて興福寺の僧、霊仙もいた。
○井真成
2004年西安市工事現場で偶然「井真成」記念碑発掘される。
井真成は、717年17歳の時、遣唐使の一員として派遣される。帰国かなわず36歳で没。
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- 皇朝十二銭（こうちょうじゅうにせん）
 皇朝十二銭とは、奈良時代から平安時代に、律令制度に基づいて政府が発行した１２種類の銅銭の総称である。
- 皇朝十二銭の最初の「和同開珎」の発行目的は、律令制度に基づく貨幣制度を日本にも整備させようとして、唐の「開元通宝」を手本として鋳造されたと考えられている。また今ひとつの目的は、平城京造営にともなう莫大な費用を捻出することにあったとされる。即ち、貨幣鋳造に使用される銅本来の価値と、それを上回って発行される貨幣価値との差額によって生じる巨利を確保できたのである。
その後、貨幣の発行は政府の重要な財源となるが、発行を繰り返すごとに貨幣は小さく且つ銅の割合も低下、加えて朝廷の弱体化もあって市場から見放されていき、ついに天徳2年（958)の「乾元大宝」を最後に発行されなくなった。
なお、右上の画像は、「河内の美技心－考古学研究と船橋遺跡－」大阪府立弥生文化博物館平成二十六年度冬期企画展」で展示されていた皇朝十二銭(但し９種類のみ）を許可を得て撮影したものである。
皇朝十二銭の発行年と名称
| 発行年（和暦） |
通貨名称［ふりがな］ |
| 708年（和銅元年） |
和同開珎［わどうかいほう(ちん)］ |
| 760年（天平宝字4年） |
万年通宝（萬年通寳）［まんねんつうほう］ |
| 765年（天平神護元年） |
神功開宝（神功開寳）［じんごうかいほう］ |
| 796年（延暦15年） |
隆平永宝（隆平永寳）［りゅうへいえいほう］ |
| 818年（弘仁9年） |
富寿神宝（富壽神寳）［ふじゅしんぽう］ |
| 835年（承和2年） |
承和昌宝（承和昌寳）［しょうわしょうほう］ |
| 848年（嘉祥元年） |
長年大宝（長年大寳）［ちょうねんたいほう］ |
| 859年（貞観元年） |
饒益神宝（饒益神寳）［じょうえきしんぽう/にょうやくしんぽう］ |
| 870年（貞観12年） |
貞観永宝（貞観永寳）［じょうがんえいほう］ |
| 890年（寛平2年） |
寛平大宝（寛平大寳）［かんぴょうたいほう］ |
| 907年（延喜7年） |
延喜通宝（延喜通寳）［えんぎつうほう］ |
| 958年（天徳2年） |
乾元大宝（乾元大寳）［けんげんたいほう］ |
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三世一身法（さんぜいっしんのほう） 723
- 養老7年（723）4月17日、元正天皇のとき、太政官の奏上により食糧増産・税収増加を目的として発布された法令である。
- 法令の内容は以下のとおり「続日本紀」に書かれている
「新たに溝や池をつくり、田地を開墾した者があれば、多少に関わらず、三代まで所有を許し、もし旧い溝や池を手入れして使えるようにした場合は、本人の代までその所有を許すことにしたい」
- この法令が発布された背景には人口増加による食糧不足や度重なる陸奥などへの征討軍の派遣による軍費拡大などの国家財政の逼迫があったのではないかと考えられている。
- しかし、この法令は後の「墾田永年私財法」（743年）に拡大されるに及び、律令体制の前提であった「公地公民制」を空洞化させていく第一歩となった。
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長屋王の変 729
- 養老４年(720)に藤原不比等は没したが、その子である四子はいずれも未だ若く、政権を担うには荷が重すぎた。
- そのため大納言であった高市皇子（天武天皇の長子）の子である長屋王の勢力が拡大する。
- 即ち、長屋王は養老５年に右大臣に、聖武天皇即位（神亀元年(724)）同時に左大臣に進み政界を主導するまでに至る。
- しかしその後聖武天皇の妃光明子（藤原不比等の娘）の存在と藤原四子の成長とともに藤原氏の勢力が回復し長屋王と政界における主導権を争うまでに台頭する。
- その情勢下の天平元年（729)長屋王の謀反の密告があったとして藤原四子の一人である宇合の率いる六衛府の軍勢が長屋王宅を包囲し長屋王を自殺に追い込むという事件が起こる。これが「長屋王の変」である。
- なお、長屋王の謀反は藤原氏のでっち上げであったことは良く知られるところである。
- この事変後、藤原氏は、光明子を天皇家出身以外の妃として初めての皇后とすることを強行し、藤原氏全盛期の基礎を固め、藤原四子が天然痘に罹り相次いで没する
７３７年までの８年間、政治を主導することとなった。
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藤原四子政権 729-737
- 下記の藤原不比等の四人の男子が、729～737年の約8年間、朝廷における重職を独占し、政権を担ったことを指す。
| 藤原武智麻呂（むちまろ） |
680－737年 |
（藤原南家開祖） |
（大納言） |
| 藤原房前（ふささき） |
681－737年 |
（藤原北家開祖） |
（参議） |
| 藤原宇合（うまかい） |
694－737年 |
（藤原式家開祖） |
（参議） |
| 藤原麻呂（まろ） |
695－737年 |
（藤原京家開祖） |
（参議） |
- しかしこの四子は、当時猛威をふるった天然痘にいずれも罹り、737年、4人とも 死亡した。この死を人々は藤原四子が謀略によって長屋王を自害に追い込んだ祟りだと囁きあったといわれている。
- なお、これら四子は光明皇后の異母兄にあたる。
- また、近衛五摂家といわれる「九条」、「一条」、「二条」、「鷹司」は、藤原房前を祖とする藤原北家をもととしている。
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藤原広継の乱 740
- 藤原広嗣は、藤原宇合の子。
- 藤原四子没後、藤原氏は没落し代わって橘諸兄が台頭する。
- これに反発して素行不良として太宰府に左遷されていた藤原広嗣が「災害が続き世情不安の元凶は僧正の玄昉と吉備真備らの君側の奸の政治にあり」とし、その追放を上表文にて聖武天皇にあげ、天平12年(740)9月3日に九州の兵を挑発し蜂起した事件。
- これに対して朝廷の動きは迅速で直ちに大野東人を将軍に任命し討伐軍を編成し、早くも9月25日には豊前を鎮圧し広嗣軍を孤立させ、翌10月には筑前の板櫃川で決戦に持ち込み広嗣軍を破った。敗れた広嗣は五島列島まで逃走を図るが捕らえられ処刑された。
- なお、 この広嗣の乱の最中の10月26日に聖武天皇が「適切な時期ではないが・・・」と東国への行幸に出立したことはよく知られるところである。そしてそのまま平城京には戻らず山背国恭仁に遷都する。
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橘 諸兄（たちばな もろえ） 684-757
- 敏達天皇の五世とも四世とも伝わる皇族であったが、天平8年（736）、皇族から臣下に下り母橘三千代の姓を継ぐことを聖武天皇に願い許される。（続日本紀聖武天皇天平八年十一月十一日の条）
- 天平9年（738）時の政治を担っていた藤原四子が相次いで天然痘に罹り死去し、朝廷内の権力に空白が生じるという異例の事態となる。
- そのため、朝廷は急遽、橘諸兄を大納言に更に天平10年（738）には右大臣とし、政権を担わせる。
橘諸兄がこのように急速に権勢に上りつめていった理由は以下の光明皇后と藤原氏との深い関係にあった。
- 父：美努王（みぬのおおきみ） 母：後に藤原不比等の夫人となった県犬養橘三千代（あがたのいぬかいのたちばなのみちよ） 妻：藤原多比能（藤原不比等の娘） 異父姉：光明皇后
- そして、天平15年（743）には左大臣となり、国政は諸兄が完全に担うこととなった。
- しかし、天平勝宝元年(749)、聖武天皇が譲位して阿倍内親王が孝謙天皇として即位してからは、次第に藤原仲麻呂が孝謙天皇、光明皇太后の寵愛を受けて台頭し始め、橘諸兄の左大臣としての権力は空洞化される。
- そしてついに天平勝宝7年（755）藤原仲麻呂の仕掛けた謀略とされる「聖武太上天皇に不敬の言動があった」との讒言によって、辞職に追い込まれ失脚し、失意の内に天平勝宝9年（757）死去する。
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知識 知識結
- 仏教用語で、知人、朋友の意であるが、転じて人を仏道に導く識者の意となり、さらに仏道に結縁して造寺、造仏、写経、法会などのために財物などを寄進する行為、もしくはそうした行為を行う人々を意味するようになった。
- 寄進される財物を知識物といい、集団的に知識を行うことを知識結といった。
- 知識結は奈良時代に盛んに行われた民間仏教の展開の場となった。
- 行基の社会事業も広い意味での知識とみなすことができる。
- 中世以降は、勧進、普請などの用語が用いられるようになった。
平成2年6月5日 東京創元社発行
京大日本史辞典編纂会編「新編 日本史辞典」 |
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墾田永年私財法 天平15年（743） ・・・作成中
- 天平15年5月27日、聖武天皇の詔として発布された
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橘 奈良麻呂の乱 757
- 橘奈良麻呂は、藤原四子没後左大臣に上り詰め権勢を誇った橘諸兄の嫡子。
- この乱は、聖武天皇崩御後、ますます専制化する藤原仲麻呂への反感を強める皇親や冷遇される貴族達の政界の情勢を背景に、橘奈良麻呂が孝謙天皇、光明皇太后、藤原仲麻呂を排除し新たな天皇を擁立を目指したクーデター計画であった。
なお、ここで云う貴族たちとは、古くから天皇家に仕えてきた大伴氏、佐伯氏などに代表される豪族であり、一方皇親とは、天武天皇が推し進めた有力豪族の合議体ともいうべき政治から天皇家とその一族を中心とする皇親政治を支えてきた皇親たちである。
これに対して藤原仲麻呂を中心とする勢力は天智朝以降急速に力を増してきた藤原氏に代表される官僚である。
従って、奈良麻呂の乱は、「藤原氏に代表される官僚の台頭に対して、伝統貴族と皇親が起こした反乱」である。
- しかし、 この計画は、実行前の天平勝宝9年(757)6月28日長屋王の遺児山背王が謀反の動き有りと密告したことから発覚してしまう。
- これに対して孝謙天皇は7月2日「天皇に忠節を誓へ」との詔を出して牽制し収束を図ろうとしたが、藤原仲麻呂は新たな密告があったとして小野東人を捕らえ、二日後の7月4日小野東人が自白したことを根拠に、長屋王の遺児である黄文王（きぶみおう）と安宿王（あすかべおう）の兄弟をはじめ４００名をも超える者を捕らえ罰した。
- この大規模な粛正は、仲麻呂がこの橘奈良麻呂の乱を利用して反藤原氏勢力の一掃を断行したといえる。即ち、前に左大臣橘諸兄を失脚に追い込み、さらに残った反藤原勢力一掃の総仕上げであった。
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藤原仲麻呂の乱(恵美押勝の乱） 764
藤原仲麻呂 706-764
- 藤原武智麻呂の子。光明皇后の甥。
- 天平13年(741)民部郷、同15年参議、
- 天平勝宝元年(749)阿倍内親王（孝謙天皇）の即位に際し大納言になると同時に光明皇太后が設けた紫微中台の長官、及び中衛大将となり政治・軍事両方を手中に収めるまでになる。
- 天平勝宝8年(756)2月左大臣橘諸兄失脚
- 天平宝字元年(757)7月橘奈良麻呂の乱を制圧し反藤原勢力を一掃し藤原氏完全復活を果たす。
- 天平宝字2年(758)8月孝謙天皇、淳仁天皇に譲位。同時に右大臣となり恵美押勝の名を与えられる。
- その二年後(760)太政大臣となり、皇族以外の者が太政大臣となる先例を開く。
藤原仲麻呂の乱 764
- 藤原氏は四子が737年天然痘に罹り相次いで死亡し、その強大な権勢も急速に衰退した。しかし 藤原四子の武知麻呂の子の仲麻呂(706生-764没)が成長するとともに、藤原氏復権を願う光明皇后の強力な後ろ盾を得て朝廷での勢力を次第に回復する。
- 即ち、天平勝宝元年(749)阿倍内親王（孝謙天皇）の即位に際し大納言に、さらに光明皇太后が設けた紫微中台の長官、及び中衛大将となり政治、軍事両方を手中に収めるまでになる。
- その結果、藤原四子没後左大臣に上り詰め権勢を誇っていた橘諸兄と対立したが、謀略により辞任に追い込み、更に橘諸兄の子の橘奈良麻呂の反乱を制圧することによって反藤原勢力を一掃し藤原氏完全復活を果たした。
- しかし、天平勝宝4年(760)光明皇太后が没し朝廷における強力な後ろ盾を失い、さらに僧 道鏡への信任を深めていく孝謙太上天皇とも対立することとなる。
- そして、遂に天平宝字6年(762)6月孝謙太上天皇が淳仁天皇を激しく非難し、実質的な天皇の権限を取り上げる宣命を発した。これは淳仁天皇を傀儡としていた藤原仲麻呂の権限がことごとく剥奪されたことを意味した。
- 仲麻呂はこれに対して再び政権奪取をすることを目指し天平宝字8年(764)9月2日新田部親王の子の塩焼王（しおやきおう）を天皇とするための軍事行動を起こす。
- しかし、この謀反を事前に察知していたと思われる吉備真備の孝謙太上天皇軍により同年9月18日撃退され、仲麻呂は妻子と共に捕らわれ処刑される。
- 同年9月20日、道鏡は大臣禅師となり、同年10月9日孝謙太上天皇は称徳天皇として即位する。
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南都七大寺
奈良時代、朝廷の保護を受けた大寺を指す
- 興福寺 奈良県奈良市登大路町48番地
- 東大寺 奈良県奈良市雑司町406-1
- 西大寺 奈良県奈良市西大寺芝町１－１－５
- 薬師寺 奈良県奈良市西ノ京町457
- 元興寺 奈良県奈良市中院町１１
- 大安寺 奈良県奈良市大安寺2丁目18-1
- 法隆寺 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内１－１
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道鏡 ?-772
- 道鏡は、怪僧、妖僧、色僧などとよく言われるが、事実は相当異なるようである。
- 道鏡は、河内国若江郡（大阪市八尾市）の豪族弓削氏の家に生まれ、幼少より仏典に親しみ、その優秀さは成人しても衰えず、梵語（サンスクリット語）については当代一流の学僧として世によく知られようになる
- その異能ぶりを認められたのであろう天平宝字5年（761）頃には、宮中で仏事を執り行う内道場の禅師に迎え入れられる。
- 道鏡は、その豊かな学識と教養そして僧としての厳しい修行により得た見識によって頭角を現し、やがて宮中でも高い評価を得る禅師となった。
- ある日、孝謙太上天皇が保良宮離宮（滋賀県石山寺付近）で病を得て床に伏したとの急報が宮中に入る。
- そこで宮中は、当然、この評判の高い道鏡を看病禅師として派遣したのである。これが、孝謙太上天皇と道鏡の出会いである。
- 道鏡は保良宮離宮に着任後直ちに孝謙天皇の病の治療に全身全霊を注ぎ、幸い病気は平癒した。
- その後も孝謙太上天皇は道鏡を深く信任し、764年称徳天皇として即位した翌765年には太政大臣禅師に、さらに翌766年には法王に上らせた。
- 孝謙天皇が、道鏡の仏僧としての真摯な姿勢と学識に感銘を受けたのは当然といえる。事実、後の宣命に「朕を導き護りますおのが師」とまで述べている程である。
- しかし、その3年後の769年に「宇佐八幡宮神託事件」がおこる。即ち、朝廷に太宰府主神である中臣習宣阿曽麻呂（なかとみのすげあそまろ）から「道鏡を天皇にすれば天下は太平になる」との宇佐八幡神の神託がもたらされ、その真偽を確認のため使わされた和気清麻呂が、それを全面否定する神託を持ち帰った事件である。そして失意の内に称徳天皇はその翌年770年崩御される。53歳であった
- そしてその数ヶ月後、道鏡は下野（栃木県）薬師寺別当へ左遷され、その2年後の772年春没した。
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霊仙 ？－804
- 興福寺の僧。延暦23年(804)第18次遣唐使、空海、最澄、橘逸勢等とともに入唐。長安、醴泉寺に入る。その6年後の唐歴、元和5年（810）から6年にかけて唐の国家事業として行われた、「大乗本生心地観経（だいじょうほんしんじかんぎょう）」のサンスクリット語からの漢訳を担当。主席は般若三蔵、霊仙が次席を務めた。この功績と高い見識によって、時の唐皇帝である憲宗に寵愛を受け、内供奉僧（宮中で奉仕する僧）に取り立てられ、元和6年（811年）三蔵法師の称号を与えられる。しかし、これが霊仙にとっての運命を分けるものとなった。即ち、仏教の秘伝が国内から失われることを恐れた憲宗によって日本への帰国を禁じられたのである。
- ところで同時期、唐では道教が著しく台頭し廃仏の機運が高まり、憲宗皇帝は唐歴、元和14年（819）宦官に毒殺される。翌元和15年（820）、身の危険を感じた霊仙は、長安を離れ、現在の中国山西省にある五台山に移る。以降、唐歴、大和2年（828）ごろまでに何者かによって毒殺された。毒殺された理由は不明であるが、その約10年後の838年に入唐した円仁の「入唐求法巡礼行記」にも記載されており、毒殺されたのは事実といえる。
- 霊仙は、日本僧で唯一人、三蔵法師という称号を得た僧である。にも拘わらずあまり知られていない。もし、霊仙が帰国しておれば日本に於ける仏教はまた異なったものとなっていたかもしれないと言われる程の識見・能力が高い逸材であった。入唐して醴泉寺に入らず、他の寺院に入っておれば空海や最澄のように１～２年で帰国し、名声を得ていたに違いない。真に人の一生は人智を超えたものだというほかない。
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待賢門院 康和3年（1101）～久安元年（1145）
- 平安末期、正二位権大納言藤原公実の娘で藤原璋子（しょうし、又は、たまこ）。
- 待賢門院（たいけんもんいん）は女院号。7才で実父を亡くし、白河天皇の寵愛を受け、白河天皇が没後その権勢も衰微した。絶世の美人であったという。
- 鳥羽天皇（第74代）の中宮。崇徳天皇（第75代）、後白河天皇（第77代）の母。
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嘉門院 保安3年（1122）～養和元年（1182）
- 平安末期の摂政関白太政大臣藤原忠通の娘、藤原聖子（きよこ）。
- 崇徳天皇の后で、近衛天皇の養母。
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治承の大火 1180
- 治承4年5月（1180年）以仁王（後白河法皇の皇子）を奉じた源頼政の挙兵に、東大寺をはじめ南都の大寺の衆徒等も呼応した。
- 平清盛はこれに対して、子の重衡を差し向けた。
- 重衡は、同年12月28日東大寺、興福寺等の主要大寺をことごとく焼き討ちし、平定する。
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