■Lien■

■想い■
 ……暖かい。
 うっすらと目を開けると、やわらかな春の日差しが私を包み込もうとしていた。
 カーテンの隙間からこぼれた光がやさしく頬を照らしている。
 目覚めとしては上出来の部類に入るシチュエーションだ。
 暖かさを存分に蓄えた布団の中へと顔をうずめる。
「ふふっ」
 布団のすそから目だけをだし、少しだけくぐもった声で笑った。
 そして、大きめの深呼吸をひとつ。
 見なれたハズの天井が、少しだけ違って見える。
 ……夢。
 私であって私でない、私の記憶。
 私に刻まれた、心の奥底から溢れてくる記憶。
 そして、私だけのものじゃない、記憶。
 それは私に、両腕で抱えきれないほどの大切なものを思い出させてくれた。
 ……かけがえのない「想い」
 もう一度深呼吸する。
 けれど、高ぶる気持ちはなかなか静まらない。
 はしゃぎたくなる気持ちが抑えられない。
 こんな時はいつも……。
 あのフレーズがよみがえる。
「う〜……」
「う〜う〜」
「う〜う〜、う〜う〜う〜♪」
 なんとなく、勝手に声がでてしまった。
 が、あまりの音の外れ方にちょっと悲しくなった。
 けど、それとは反対に顔中がゆるむ。
 私はそのまま、しばらくのあいだその余韻に浸っていた。
 とても幸せな、とても優しいあの時間……。
「……私は、思い出したよ」
 私の知らなかった「私」が記憶を埋め尽くしていく。
 上へ向けて、陽の光にかざすように、そっと手のひらを伸ばす。
「どこにいるのかなぁ」
 その手は、もう、あたたかいぬくもりを思い出していた。
「また、会えるよね……」
 その手は……。
「……しろーくん」
 再び、あのぬくもりを求めていた。

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