巷(ちまた)では狂牛病や鶏インフルエンザが蔓延して社会問題になっています。
そもそも人間にとって肉食は必要なのでしょうか。
先回、歯の構造から肉食の比率は1割強と書きましたが、それはあくまで犬歯が犬歯として役立っている場合で、人間の丸まった犬歯は、人類が歴史的に肉食をあまりしてこなかったことを物語ります。
人類に近い類人猿であるチンパンジーやゴリラはほとんど肉食をしません。
人類が猿から分かれて直立歩行をするようになったのは肉食をするようになったからだ。という説が現在は有力ですが、それならばなぜ犬歯がもっと尖っていないのでしょうか?
豚、牛、鶏といった家畜の体温は人間より高くなっています。
肉に含まれている脂肪は、胃腸でいったん消化されたあと体に吸収されると、再び元の脂肪に合成されるため、
家畜の体温では油状の脂肪も人間の体温ではバターのような固体となります。
過剰の脂肪は血管に付着して、毛細血管を詰まらせたり心臓を詰まらせたりします。
いわゆるこれが成人病の原因の一つです。
犬や猫などは普通に飼っている限り成人(成犬・成猫)病にはなりません。肉食に適応した体をしているため、人間のように脂肪が悪さをしないのです。
このことからも、どうも人類は肉食に適応していない事が伺えます。
三つ子の魂の例があるように、後天的な食性活が好みを作りますが、それ以外に人類に潜在的に不足しがちな栄養素をおいしく感じる特徴があります。
植物食では慢性的に不足しがちな蛋白質への欲求から、肉をおいしく感じると思われます。
体にいいからおいしく感じるという事とは少し違います。
栄養学の点から良質の蛋白質、ビタミンB群、鉄分や亜鉛等のミネラルの補給源として有効といわれています。
肉は有効な成分と害がある成分を含むため、少しでも害のない食べ方をする必要があります。
一つの方法として、豚肉を食べて長寿の沖縄食でもみられるように、コトコトと煮ることで脂肪を出来るだけ取リ去って食べる方法があります。
また、野菜や果物のように繊維分を含む食品を合わせて食べることで腸内のバランスを整える方法もあります。
肉食のもう一つの問題点として、例えば、肉1kgを生産するのに、穀物が10kg必要。という事です。
ご承知のように、アフリカ等の第三世界では食糧難の国や地域が多くなっています。
理想論ですが、人類が肉食をせず、肉の生産に当てていた穀物を第三世界に回せば、食糧難は解決できるのです。
実際は、政治・経済が複雑にからむため単純には行きませんが、本来、家畜は、人間が食べられない草や残り物で育てていたはずなのです。
ところが先進国では飽くなき美味の追求という事で、フォアグラやサシ入の牛肉といったように家畜の食性を崩してまで育てることが行われています。
狂牛病も草食性の牛に肉食をさせた結果です。
肉をモリモリ食べて健康!というのは間違っています。量を減らすことも肝心です。