クイーン・エリザベス二世号乗船記
 


 平成12年春、毎日が日曜日、開放的な気分を味わいながら振り帰ってみると35年連れ添った妻に今まで思い出になるようなことをあまりしてやれなかったなぁと・・・。
ヨーロッパ旅行でもと思ったが飛行機に何時間も拘束され、現地では移動のたびにスーツケースなど整理、身支度、時間にせかされる旅はしたくない。いつか夢でもいいから豪華客船で世界一周旅行をしてみたいなぁーと憧れていた。

この年の6月、大分旅情報さんのお世話で、スター・クルーズのスーパースター・トーラスで博多~釜山~博多のクルーズ3日間を初めて妻と二人で乗船、カジュアルなクルーズで乗船客もクルーズは初めてという方がほとんど、ワイワイガヤガヤと結構楽しかったけどあっという間に終わった。その後スター・クルーズはどうしてか香港に撤退してしまった。

平成13年の夏、大分旅情報の村上社長から、あの洋上の貴婦人クィーン・エリザベス二世号(QE2、総トン数7万トン、乗務員数1,015名、乗客定員1,496名、全長296m)と処女航海で11万トンのスター・プリンセスが日本に寄港するという。どちらにするか迷ったが伝統ある船に乗ってみることにする。乗船期間は6日間で大阪~基隆(キールン、台湾)~香港で下船。クルーズ代金(日本~外国間の飛行機代も含む)は船室の等級により異なるがサービスはクルーズ代金に関係なく皆同じサービスを受けられるので20万円台の安い船室を選んだ。旅行に20万も出費するのは初めてのことである。

14年3月5日、大阪港にその勇姿を浮かべたQE2、パスポートの提出、クレディットカードの登録など手続後いよいよ乗船。大阪からの乗船客は約350名とか。大分のグループは旅情報の村上社長外5名、先客にはニューヨークから乗った世界一周の日本人もいるという。世界一周の客は320名。外国人客が多い。乗船後すぐ避難訓練に参加、救命胴衣を着けて指定の通路を通り集合場所へ、すぐ解散。船室に戻ってシャワーを浴びる。今夜の服装はインフォーマル、こちらはダーク・スーツ、妻は青のワンピースで上階へ。

窓の外は夕べ、船は静かに大阪港を出発。18時15分からモーレタニア・レストランへ、入り口両サイドに国際色のウェイターがずらりと並んで歓迎する中を挨拶しながらリッチになった気分。大分の4名と大阪からのご夫婦の6名は同じテーブルに座る。今後、このテーブルが我々の予約席。レストランは5ヶ所あり、キャビンによってレストランが指定されている。他に誰でも利用できるビュッフェ形式で食事が出来るザ・リドがある。リドには和食もあり果物なども豊富、朝・昼はよく利用した。自分達の部屋は4デッキにあり、両サイドにシングルベッド。上部デッキの人の集まるフロア・通路などはシックな感じで落ち着ける。クルーズの場合、部屋のランクでクルーズ料金が決まる。サービスは料金に関係なく平等。食事・お茶、エンターティメント、プールの使用など全て最初に支払った料金に含まれているので1日3回のお茶・ケーキも含めていくら食べようが、観ようが、使おうが無料である。ただし、レストラン・バーでの飲み物、ランドリーサービスなどは料金がいる。

6日朝、船は九州東南方海上を基隆向け。海上は季節風で大時化、上デッキにいると船はゆっくりとした横揺れ(ローディング)を繰り返している。船酔いする客も出てほとんどの方が船室で休んでいるようだ。夕方、時化も少し収まりつつある。夜、ディナーの服装はフォーマル。初めてのタキシード(貸衣装、フォーマル靴込10日間で1万円)に上機嫌。家内はイヴニング・ドレス(ゴールド色、大分パルコで購入、バッグ込みで約5万円弱)、よくフィットしている。ダークスーツの人も多い。食後、キャプテン主催のパーティ会場へ、キャプテンとの記念撮影後パーティでシャンペンを飲みながら大分や関西の人たちとくつろぐ。単身の男女も結構いる。よい出会いを祈る。そのあとクリスタル・バーで交歓後、ヨットクラブでオーストラリアの女性などと生演奏でディスコを踊る。

7日、海上は凪いでくる。揺れも少なくなり妻も元気になる。日本語の船内新聞で興味のあるイヴェントをチェックする。今日からクルーズを楽しめそうだ。シャワーを浴びて08時過ぎ朝食をとる。ゆったりした気分になり、舷側デッキを散歩。いろんな人種がウォーキング。舷側を回りながらブリッジ上部へ、最前部に上がる。湿った潮風が乾燥した肌を優しくなでていく。久しぶりに壮大な海原を眺めて最高な気分。南さつまの漁村育ち。潮風に肌をゆだねながら一日中ボヤッと遥かな水平線を眺めていたころもあった。海はいろんな想い出の場所だ。10時からダンス・レッスンに参加。約40名、日本女性が多い。初めてのステップだがなかなか面白い。11時からタンゴレッスンに参加。アルゼンチン人らしい男性ダンサーがかっこいい。航海中は毎日レッスンがあるようだ。12時台湾、基隆港入港。リドでのんびり昼食、13時からのブリッジツアーはあきらめ、妻と無料バスで基隆市内の観光に出かけた。殆どの人が台北ツアーに行ったようだ。



 60年前、オレは高雄で生まれて、この基隆港から高砂丸という客船で日本へ去った。生前、母は港湾局近くの岸壁から出港したといっていた。通過したであろう港湾局の前に立つ。
用を足したくなリ、近くの立派なビル、基隆市立文化中心に入る。入口周辺はきれいで一瞬入ってはいけないような雰囲気を感じる。中に入ると中央に故蒋介石さんの立派な坐像があった。妻と黙礼。

1階は坐像以外なにもない空間、それらしきものが見当たらない。2階で絵画展があり受付の愛想のよさそうな70近い男性に、便所、お手洗い、トイレ、WCなどと言ってみるけどニコニコされるだけ。この人、外省生まれの方かなと失礼にも頭を過ぎった。最後は仕方なくゼスチュア、すかさず、オー・オー・オーッと一発でOK、親切にトイレまで案内していただいた。絵画展を見て裏口から失礼する。あとで考えると蒋介石さんの近くにトイレなんてあるはずがないよな。市民の方は裏口を利用していた。すぐ近くに商店・屋台街があり、活気があって見て回るだけで楽しい。いろんな食べ物が並んでおり、好きなおこわご飯やマグロの刺身などもあったが満腹状態。屋台街にあるお寺にお参りして16時過ぎ帰船。

夜は、一流のレストランで毎夜ディナーをとっている気分。ご婦人方のイヴニングドレス姿に見惚れながら、添乗員に手助けしてもらって料理のコースを選び、ソムリエを呼んでワインを選ぶ。ほろ酔い、大阪、大分、鹿児島弁のイントネイションの違いなど会話がはずむ。国際色豊な雰囲気を楽しむ。こういう雰囲気の中でオペレッタ「こうもり」でも観られたらいうことないのだが。
いい気分になったところで、クインズルームのダンスフロアへ移動。ダンス暦は1年半、初級者だが、QE2でダンスを踊るのを楽しみにしてきた。早速ダンス用の服装に着替える。妻は黒のシースルー長袖にスカート(黒地に一部白)。生演奏で外国人のペアに囲まれながらダンスを楽しむ。船の男性ダンサーが約10名、殆ど60歳台と見た、女性をうまくリードして楽しませることがうまい。なんだか知らないがベイシックなステップのようで、あんなに女性を楽しそうに踊らせている。我々日本人のダンスは生真面目すぎて面白くないぞ。女性をうっとりさせるようなムードとリード、これをマスターしなきゃ。平尾昌晃の「ミヨちゃん」の歌じゃないけど、「今に見ていろ、この僕だって・・・・」

8日、終日航海。プールがあるというので水泳パンツを用意してきたが10メートルぐらいしかないプール、後部サン・デッキにあるプールで勇気を出して外人のご夫人と二人で泳ぐ。マスターズ水泳で鍛えた泳ぎを見せたかったのに期待はずれ。その後ジムを見に行く。ゆっくりエクササイズ出来る広さがある。毎日ジムを利用する予定でいたがついに利用できなかった。デッキを散策。デッキ・チェアに寝そべってぼんやり海を眺めている人、日光浴をする人、小説を読んでいる人、俺のクルーズの目的もこうして過ごすことだが、終日航海3日間では残念ながらそこまで落ち着けなかった。土産を買いに店を見て回る。女性のドレス、アクセサリーなど安くて良いものが置いてある。午後のティーを楽しむ。無料でいくらでもケーキが食べられる。

歳をとることは避けられないけど、若さ・ハートはその人の心がけしだいという。スマートに齢を重ねて生きたいと思いながら・・・、お茶がおいしい。
夜はシアターでミュージカルを鑑賞する。

 キールン文化センター
 キールン屋台街
 キールン屋台街
 キールン屋台街にあるお寺
香港 スタークルーズ ピクセス 

 9日、07時過ぎ起床、デッキに出る。香港の高層階のビル群が近づいて見えてくる。先導船が放水しながら我々を迎えてくれる。08時過ぎ香港入港。船は明日まで停泊。殆どの人が香港ツアーを予定。大分のグループは別行動、09時下船,香港人ガイド付きで観光地巡り。17時前帰船、お茶を飲んでいたらスタークルーズのピスセスとスターレオが入港してきた。QE2とは比較にならないが夕日に照ってその雄姿も又きれいだ。最後のディナーをゆっくりとる。5日間のディナーメニューをコピーしてもらう。荷物を整理して早めに寝る。清算書チェック。

10日、06時起床。07時リドで朝食。08時部屋を出て最後のお別れ、船を一周する。清算は出港時カードを登録していたので清算書を確認するだけ。09時30分下船開始。荷物は現地業者が車で一緒に空港まで運び,出発まで預かってくれたので楽であった。

ああー、お別れのときだ。QE2よ、ありがとう。君の心を潮風に聞けばなんと伝えてくれるだろう。

「私の心は気まぐれよ、ほんとに気まぐれなのよ」、なんて言わないで再会を約束しておくれ。

サラ・ブライトマンの「TIME TO SAY GOODBYE」を聞きながら、タラップをゆっくり降りる。

       “さらば、わがクィーン・エリザベス二世号よ”


 キャプテン主催のパーティ会場へ


 ラプソディ・オブ・ザ・シーズ January 16th 2008
 パーティ会場にて ラプソディ船長とh



サラ・ブライトマン 「Time to say goodbye」

(転載承認済)

Time to say goodbye - Andrea Bocelli & Sara Brightman

サラ・ブライトマン(Sarah Brightman, 1960年8月14日- )
イギリスのソプラノ歌手、女優である。1980年代にミュージカル女優として輝かしい成功を収め、1990年代以降はソロ歌手として活動している。クラシックとポップスを融合した独自の音楽スタイルはクラシカル・クロスオーバーの世界的な隆盛をもたらしている。アメリカにおけるビルボード・チャートのクラシック音楽部門とダンス音楽部門で同時に1位を獲得した唯一の歌手である。
NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』の主題歌「Stand Alone」(久石譲作曲)も歌っている。 出典:ウィキペディア


クルーズ情報

クルーズ客船のクラス

カジュアルクラス
クルーズは初めてという方など気軽に楽しめるクルーズ。乗務員1人当たりの乗船客数は平均2.6名。
クルーズ料金はピンからキリまで、東南アジア、マラッカ海峡、シンガポール、マレーシア、タイ三か国クルーズは7日間で15万円以下(シンガポールまでの往復飛行機代込)。地中海、カリブ海などでも安いクルーズがあります。人は移動しなくてよいので疲れないしいろんな遊び場所があって退屈することはないと思う。


プレミアムクラス
落ち着いた雰囲気と上質のサービスが魅力のクルーズ。乗務員1人当たりの乗船客数は平均1.9名

ラグジュアリークラス
最上級のクルーズ。乗務員1人当たりの乗船客数は平均1.4名

船の大きさ
最大22万トン(アリュール・オブ・ザ・シーズ、全長361m、乗客定員5,400名、2010年12月就航予定、カリブ海クルーズ)から2万トンぐらいまで。
日本船は飛鳥が5万トン、パシフィックビーナス、日本丸、富士丸が2万トンクラス。日本船はグレイドが高い

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