ロッコリー中の化学物質,免疫力回復に有用な可能性
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〔ロサンゼルス〕カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デービッド・ゲッフェン医学部ナノ医学主任のAndre
Nel博士らは,ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜に含まれる化学物質が,老化により低下する身体の免疫力を回復させる可能性があるとの知見をJournal
of Allergy and Clinical Immunology(2008; 121: 1255-1261)に発表した。
抗酸化経路の重要性を示唆
今回の知見は,ブロッコリーに含まれる化学物質スルフォラファンが特異的免疫細胞のなかで一連の抗酸化遺伝子や酵素を発現させ,これが細胞を損傷させ,疾患を引き起こすフリーラジカルに対して有効であることを示している。
フリーラジカルは,食物からエネルギーへの代謝変換など正常な過程の副産物で,汚染大気中に存在する微粒子を通しても体内に侵入する。このような分子は,例えば,動脈閉塞を引き起こす炎症を誘発するなど,疾患を惹起する酸化的な組織障害をもたらし,身体組織や器官に対する酸化的な障害は老化の主要な原因の1つであると考えられている。
研究責任者でUCLAの臨床アレルギー学者および免疫学者でもあるNel博士らは「フリーラジカルが老化にとって重要であることがわかってから今日まで,興味の中心はこの産生抑制のための経路よりも,むしろフリーラジカルを産生する機序に対して向けられてきた」と述べている。