泥洹(ないおん) の炎
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著 者 忍山 諦
発行者 中田典昭
発行所 東京図書出版会
発売元 株式会社リフレ出版
定 価 本体1300円+税
七歳の洋一は五山の送り火の夜、大文字の炎に送られるようにして旅だって
いった。父の幸典が東京へ出張中、妻の靖子が熱のある洋一を家に置き去
りにしたまま遊び回っていたのである。
それを期に夫婦の溝は深まり、結婚生活は急速に破綻へと向かった。
「お父さん、なぜ大の字を燃やすの?」
ある年の大文字の送り火の夜、洋一が圭一に問いかけた、その言葉の謎が
やっと解けた夜、幸典には死期がもうすぐそこに迫っていた…
物や金という靖子が追い求める物的な豊で人ははたして幸せが得られるの
か、それとも幸典が歩んできた自らの心を原点とする小欲知足の生き方にこ
そ究極の幸せが潜んでいるのか。
こうした問題を二人が演じる人生ドラマの中で考え、人のあるべき原点とは
何かを探ろうと試みた作品である。