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1 出立の朝
防人(さきもり)として
出立(しゅったつ)した
その明け方の
門出(かどで)に
別れを惜(お)しんで
涙した
あの娘(こ)だったよ
防人(さきもり)に
立ちし朝明(あさけ)の
金門出(かなとで)に
手放(たばな)れ惜(お)しみ
泣きし児(こ)らはも
万葉集、巻十四
2 思慕
葦(あし)の葉に
夕霧(ゆうぎり)が立ち
鴨(かも)の鳴き声が
寒く
身にしみて
聞こえてくる
夕べには
お前のことを
きっと
思い慕(した)う
ことだろう
葦(あし)の葉に
夕霧(ゆうぎり)立ちて
鴨(かも)が音(ね)の
寒き夕(ゆうべ)し
汝(な)をば
偲(しの)はむ
万葉集、巻十四
つづく・・・