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時間感覚を身につける

入試で必要とされる時間感覚を身につける
入試において受験者は、制限時間内に一般に二種の文種(主に説明的文章と文学的文章)、文字数にして平均約5,500字前後の文章を読み、さらに、記述問題を含むおよそ計約33の小設問に適確かつ速やかに答えていかなければなりません。しかし、問題本文のこの文字数は近年のあくまで平均であって、実際には、特に難関校では総字数として8,000字、9,000字、時には10,000字を超える相当な長文問題が、ある年突然出題されるといったことも珍しくありません。

入試ではこうした長文問題にも対応できる速読・即解能力が試されるわけですから、塾の授業や家庭学習においても、ただやみくもに、あるいは漫然と問題演習を繰り返すのではなく、普段から制限時間を設けて、「時間の使い方」を意識し、その時間内に問題の全面解決を図る取り組み、また、模試や入試でのシミュレーションとしての取り組みを意識して訓練を積み重ねておかないと、入試本番で意図どおり答案作成が完結しない恐れがあります。時間の使い方を知り、時間感覚を身につけていくことは、中学受験の学習において非常に大切な要素の一つであるという認識を持つ必要があります。

※渋谷教育学園幕張中学校の平成27年度入試、大設問1番・問5の選択問題(五択)では、説明に充てられた総字数だけで約1,050字に及んでいます。特殊な事例ではありますが、実際の入試では、このように選択肢内の説明文を「長文化」させて対応力を測る場合もあることを想定し、平常より時間を意識した各種訓練を導入し、取り組んでいく必要があります。また、保護者様には、お子様が志望される中学校の入試過去問題集に目を通し、年度ごとの文章量の違いや問題傾向等について予め確認しておかれることをお勧めいたします。

時間短縮のための訓練
これまで当方が担当してきた生徒たちの話によると、「本文を通読していたら問題を解く時間が無くなって当然だ。先に設問文を読み、それから本文の問われている箇所の前後を確認して解くようにすればよい」と指導している家庭教師や塾講師の方々が相当多くいらっしゃるようです。改めて言うまでもありませんが、作問者はそのように本文の内容を把握せずとも単純に解決するような「サービス問題」を主軸として常に作問しているわけではありません。さらに、通読とそれによる読解、および問題解決は継続的な訓練によってその時間を短縮させ、制限時間内に全面解決させることが可能であるにもかかわらず、はじめからその点を前提とせず、時間短縮のための訓練を導入せずに形式的処理にばかり注力していれば、本質的な読解力や思考力、記述力を身につけることなく、また、迅速かつ適確な問題解決を行う能力を身につけることなく入試本番を迎えなければならなくなります。


■以下は時間配分をする方法の一例です。これを参考に、担当の先生にも相談し、時間配分や時間感覚を身につけるための助言、指導を直接受けるようにしてください。

時間配分の仕方
今眼前にある、自分がこれから食べようとする料理の種類や分量を予め確かめてから食事するのと同じように、今、眼前にある教材や試験問題の文種、文章量、問題数や問題構成など、予めその全体を把握し、そのうえで、逆算的視点から時間配分を行い、定めた目標に向けて全力で問題解決に取り組みます。

試験、または演習の開始とともに、以下の全作業を速やかに行えるよう訓練してください。時間を節約するため、同時に確認できる作業項目については、それらを同時に行ってください。全項目を確認し、配分した時間を記入するまでの所要時間は30秒以内を目安とし、作業が終わり次第、速やかに解決処理に入ってください。問題処理中は、目標とする時間を強く意識し、適宜時計を見て時間を確認してください。

問題構成を確認する
「全て問題を解き終えたと思って余裕で見直ししていたところ、最後のページを開いたら、何ともう一題問題があることに気づいて大いに慌てた」ということのないよう、予め出題されている問題の構成、問題用紙の枚数をしっかりと確認しておきましょう。

文種、文章量を確認する
文種によって読解の仕方、解法が異なります。「本文を読みはじめて暫くしてようやくその文種が何であるかに気づいた」「特に文種は意識せず、漫然と文章を読み、解いていた」などということのないよう、予め自分がこれから取り組む問題の文種をしっかりと確認しておきます。そして、その文種に合った読解方法、解法に対応できるよう頭脳の切り替えを行い、その準備状態を高めておきます。

設問の構成を確認する
解答用紙を見れば、選択問題、抜き出し問題、記述問題、漢字の問題など、問題全体の分量や構成を概ね確認することができます。記述問題では、記述解答欄の大きさを見て、およそ何字の記述が何題設定されているかを推定することができます。

時間配分を行う
以上にもとづき、試験時間内に全問解答することを前提に、大問ごとに解答時間を配分します。制限時間のうち、5分程度を予備にとっておき、残りの時間、例えば50分間を制限時間とする問題の場合は44〜45分を、各大問の解答時間に割り当てます。

独立した形式での漢字・知識関連の問題
具体的な時間配分の仕方ですが、漢字や知識関連の問題など、それらが文章題と独立した形式での出題となっている場合は、文章題より先にこの問題を時間配分します。例えば漢字の読み書きの問題が10題出題されていた場合、受験者当人の知識として反射的に解答できる種の問題なのですから、1分程度を配分し、必要最小限の時間以上を割り当てないように注意します。漢字や知識の問題に時間をかけるだけ、後々読解問題や記述問題など本質的な国語力が試される問題で時間的に圧迫される原因となり、答案作成が不完全となってしまいます。独立した形式での知識問題が複数出題されている場合は、それらを、「合わせて何分」というように設定するとよいでしょう。

文章題
独立した漢字の問題に1分を割り当てたとして、続いて残りの43〜44分を文章題それぞれに割り当てます。自分が比較的得意とする文種であれば、その大設問の処理時間を、例えば15分というように短めの時間で配分します。そして、他の大設問については、残りの時間を割り当てる、というように、その都度適宜自分で配分する時間を調整できるよう、日頃から訓練を行ってください。

配分した時間の記入
配分した時間を問題用紙の大問番号の上に書き記しておくとよいでしょう。各問題について、時間内での全面解決という厳しい制約を自分に課し、それを全力で達成する取り組みを普段から習慣づけてください。


以上の全作業を、試験、または演習開始とともに30秒以内に作業してください。

スピードの目安
文章を読む時間の目安は、訓練の初期段階では、標準的には1500字で約4分前後、3000字で7〜8分ですが、そのスピードをいつまでも維持していては後々時間的に圧迫され、入試本番で問題解決が完結しない恐れがあります。そのため、日頃から時間の短縮を図っていくという意識を持って訓練を継続する必要があります。ただし、訓練の初期段階によくあるケースですが、設問に当たる度に結局本文を二度読み、三度読みしなければならないというのでは、いくら初読時のスピードが速くても、余計な手間を取る分、却って時間を無駄にするだけで意味がありませんから、初読時に厳密で精確な読解ができるよう、また、多面的、立体的、巨視的に文章の内容を把握し、字面以外に多くの情報を獲得し、総合できるような、本質的で高度な技術的訓練を日頃から行っておく必要があります。

問題解決力
文種についてのその子の得意、不得意という要素以外にも、実際には大設問ごとの記述問題の分量の違いや難易度の違いもあり、また、大方の生徒は訓練段階では実戦対応力がまだ充分に備わっていないため、当初の計算どおり時間内に処理できないといった事態は往々にして起きるものです。大切なのは時間配分ができるようになることそのものではなく、時間内に要求どおりの仕事がきちんと仕上げられるかどうかであって、そのため、普段から一つひとつの教材をきちんと仕上げ、学んだことを獲得しながら、全てを入試本番での対応力へと繋げていくという視点での、実戦的、かつ本質的な学習への取り組みと積み重ねが重要になってきます。

※訓練の初期段階において、時間内に全問を解き終えられない場合は延長時間を設けるなどし、自身の能力を全て出し切るつもりで、真剣かつ全力でその解決に取り組んでください。演習時間は訓練の継続によって必ず短縮してゆき、やがて延長時間を設けずとも済むようになります本質的な読解学習に取り組んでいる生徒の場合は正解率も同時に向上してゆきます

人間は、良い意味で自分を心理的に追い込むと、集中力が引き上げられるだけでなく、潜在する解決能力が予期せず現出し、最大限に発揮されるといったことがしばしば起こります。普段から自分を良い意味で切迫させ、最大限の集中力と取り組みをもって主体的に問題の全面解決を図る訓練を行っておきましょう。ただし、集団指導などで、子どもが読解力や解法の定着が不十分な状態にありながら、例えば一律に10分削って強引に取り組ませるという指導ケースもあるようですが、中途半端な読解は結局中途半端な答案しか生み出せないのは理の当然であり、スピードを優先するあまり、最後まで読解が中途半端なまま入試を迎えるというのでは甚だしい本末の転倒です。中途半端な読解訓練をいくら数多く積み重ねていても、それではただ速いだけで、結局入試本番で転覆してしまうという事態を想定せざるをえません。その子の習熟度や実力に見合ったハードルの設定を行いながら時間短縮のための訓練が継続できるよう、客観的にその子の現状と見通しを把握しつつ対処する必要があります。

・作成:2004年(平成16年)
・加筆・訂正:2015年(平成27年)3月21日

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