「野球と私」



 皆さん、はじめまして。私は「ON対決を夢見て」というサイトを運営しておりますJinと申します。今回はakichanさんのご紹介により、大変僭越ながらここに投稿させていただくことになりました。

 私と野球の関わりは、小学校3年生の頃に近所の友達とともに野球を始め、友達と作ったチームで毎日遊んでいたというごく普通の野球少年でした。ちょうど巨人のV9が始まった頃の事です(年がばれてしまいますね(笑))。それほどずば抜けて上手だったわけではなかったので、どちらかというとプロ野球を見て楽しむ方が多かったかもしれません。'71オールスターでの江夏投手の9連続奪三振や、'71日本シリーズでの王選手のサヨナラホームランなどは特に印象に残っています。

 中学に入ると、仲の良かった友達の影響もありサッカー部に入ったので、中学3年間はほとんど見るだけの関わりでした。本格的に野球をやったのは高校の2年間で、高2の時は軟式ですが運良く藤井寺の全国大会(ベスト4)や三重国体、関東大会(準優勝)にも出場する事が出来ました。我が母校は、それまで決して強い学校ではなく、毎年都大会の3回戦か4回戦で負けていました。しかし、運命を変えたのは私が高2の都大会4回戦での某強豪高校との試合です。その高校は、硬式でも甲子園に出場する名門高校ですが、我校をまったく眼中に入れていないらしく、スタメンの9人中5人を2軍の選手で組んできました。4回までに我校が4点を取り4−0でリード。5回頃からさすがに焦り始めレギュラークラスを投入してきたのですが、結局4−3で逃げ切りました。6回に代打で出てきたレギュラー選手にいきなりホームランを打たれた時は、敵ながらさすがだと感じたくらいです。相手のエースはとうとう投げる機会がありませんでした。今にして思えば、その試合が我校を軟式の名門校にしたきっかけなのですが、まさに「油断大敵」というやつですね。

 進学校だった為、高3になるとほとんどの生徒はクラブ活動をやめるので、私が真剣に野球に打ち込んだのはこの2年間のみという事になります。大学では理工系硬式野球部で1年間、会社では草野球を7〜8年間やっていましたが、本格的に取り組んだのは高校の2年間でした。しかしこの2年間は、硬式の高校野球への偏見という形で私の意識の中に埋め込まれていったのでした。新聞やテレビでの扱いを比較すれば誰でもその違いは分かると思いますが、私が実感したのは、全国大会の開会式で高野連の会長の挨拶がなんと代理の人だった事です。マスコミの扱いが違うのは仕方ないと思いますが、高野連の対応までが違うのにはさすがに唖然としました。そんなわけで、それ以来私はほとんど高校野球(硬式)を見ませんでした。プロの予備軍、勉強もせずに毎日野球漬け、何がさわやかだ、というように目を背け続けてきました。しかしそんな偏見も最近変わってきました。それは、甲子園にも出場する某高校の付属中学に息子が入学したからです。残念ながら中学には野球部がないので息子は野球をやっていないのですが、高校野球が非常に身近な存在になり、今ではすっかり高校野球ファンになってしまいました(笑)。この原稿も春の選抜をテレビで見ながら書いています。いやあ、高校野球はみんな一生懸命でさわやかですね(爆)。

 プロ野球は前述しましたように巨人・大鵬・卵焼き(死語?)の時代で、特に王貞治の大ファンでした。世間は長嶋茂雄を「ミスタープロ野球」と呼び、王貞治がいくらホームランを打ち偉大な記録を作っても、常に日が当たっていたのは長嶋茂雄でした。記録の王、記憶の長嶋とも言われます。しかし私の記憶では、ここで打ってくれと思った時は王選手はホームランを打ち、王選手が敬遠されると長嶋選手が併殺打という印象が強いのです(これもかなり偏見ですね(笑))。そんなわけで高校野球と同じように、長嶋茂雄という大スターには少し偏見を持っておりました。というより、王貞治という人物を他の誰よりも尊敬しています。私が「ON対決を夢見て」というサイトを立ち上げたのも、ただONシリーズを見たいという世間一般のお祭り願望ではなく、常に長嶋茂雄の陰の存在であった王貞治に、真の日本一になって欲しいという願いからなのです。追われるように辞めていった巨人を倒しての日本一こそが、王貞治にとっての真のナンバーワンではないかと思うからです。昨年は20世紀最後の日本シリーズが念願のON対決になったのですが、残念ながら王ダイエーは敗れました。シーズン中は巨人とダイエーを本気で応援していた私にとって、日本シリーズでの両チームの対戦は非常に複雑な思いで見ることになりました。いつも松井のホームラン、高橋由のタイムリー、斎藤雅の好投等々を期待していた私が、松井、高橋打つな!、斎藤打たれろ!と願うのは非常に苦しい思いでした。しかしそれでも私は王貞治の喜ぶ顔が見たい。涙が見たい。真の日本一になって欲しい。

 というわけで、今年も今世紀最初の日本シリーズがON対決になることを願って両チームを応援したいと思っています。(両チーム以外のファンの方、長嶋茂雄ファンの方、気分を害された場合は深くお詫び申し上げます)