【ソフトバンク6−3オリックス】王監督は二重の喜びをかみしめた。目の前では松中、城島、ズレータの3連発などで南海時代の65年以来、40年ぶりの12連勝。そして東京ドームでは「ON」のきずなで結ばれた長嶋氏が“現場復帰”した。ベンチ前の勝利のハイタッチは最上級の笑顔でナインを出迎えた。
指揮官の思いを自慢の重量打線が“代弁”した。ミスターへの3連発の祝砲は同点の4回。まずは松中が26号ソロを中越えに運ぶと、続く城島が左翼席に20号。最後はズレータが26号を中堅左にぶち込んだ。4月16日の本拠地でのロッテ戦以来、球団史上初の同じトリオでの3連発を決めた。
特別な思いを抱いていたのは城島だ。昨夏のアテネ五輪では長嶋ジャパンの4番として銅メダル獲得に貢献。試合後、テレビでミスターの姿を目に焼き付けた城島は「元気そうでうれしい。福岡は遠いけど、お会いできたら元気を頂きたい」と話した。一昨年、札幌ドームでのアテネ五輪アジア地区最終予選の前、王監督から「長嶋さんの野球を聞いてこい」と助言された。伝説の「ON」から野球の神髄を教えられた自負が自信につながっている。
5回に同点とされたが、直後の攻撃では松中の2打席連発となる27号3ランで勝ち越し。貯金を31とし、2位ロッテとのゲーム差を今季最大の3・5に広げた。「華々しい3連発だね。(テレビで)長嶋さんの笑顔も見られてよかった」と王監督。ミスター復帰で球界が華やいだ日、王ホークスが独走態勢を固めた。
[スポーツニッポン 2005年7月4日]