福岡ソフトバンクホークスは28日、東京都内で球団株主総会を開き、王貞治監督(64)の取締役副社長兼ゼネラルマネジャー(GM)就任を承認した。球団社長兼オーナー代行に就任したソフトバンク本社・笠井和彦取締役(68)に続く球団背広組のNO2で、文字通り「王全権監督」のもと世界一球団への飛躍を目指す。
孫オーナー 信頼絶大
事実上、ホークスに骨を埋めることが決まった。プロ野球界初のGM兼任に続き、今度は副社長という球団背広組のNO2の肩書を背負う。「実務的なことはしなくていいと言われているし、今まで通りやることに変わりはない」“王副社長”は福岡ドーム内で、重責を淡々と受け止めた。
過去にはダイエー・根本陸夫監督が専務取締役、巨人・長嶋茂雄監督が常務取締役を兼務し、現役でも広島・山本浩二監督が取締役を兼ねている。しかし、球団社長に次ぐ、副社長というポスト就任は球界では前例がない。今回の人事は、王監督に対して、ユニホームを脱いだ後も半永久的に球団運営にたずさわってほしいという孫オーナーの意向を含んでいる。
「骨を埋める? 生々しい話はいいんだよ」と王監督は言葉を濁したものの、それを覚悟の上での就任だ。編成面での全責任を負うだけでなく、孫オーナーからは「強いリーダーシップを経営面においても十分に発揮していただきたいと思っている」と、営業面での手腕も期待を寄せられ、まさに全権監督の誕生だ。
午前中には、福岡市役所で福岡名誉市民の称号を授与された。「10年間しか住んでいないのに面はゆい」と照れたものの、名実ともに「博多の顔」となった瞬間だった。孫オーナーの夢は、メジャーを倒す世界一チームを誕生させること。「オーナーの意気込みを出来る限り、受け止めながら新鮮な気持ちで取り組んでいきたい」世界の王が博多を拠点に、壮大な目標に向かって歩き始める。(島尾 浩一郎)
米移籍問題で巨人阪神支持
王さんが上原、井川のポスティングシステムを使用したメジャー移籍希望を認めない、巨人、阪神両球団の対応を支持した。「(今回は)FAまであと1年なので、1年ぐらい前倒ししてあげようというのではない。選手の主張が悪いというのではないが、球団の対応は間違っていない」と発言。ゴタゴタの絶えないポスティング制度に代わり、孫オーナーの提唱するレンタル移籍制度の早期確立の必要性を訴えていた。
球団株98%譲渡が完了
ソフトバンクは28日、ダイエーとの間で球団株式98%の譲渡を完了し、新経営体制を発表した。「福岡ソフトバンクホークス(株)」および、福岡ドーム営業権を米投資会社コロニー・キャピタル傘下の企業から譲り受けた「福岡ソフトバンクホークスマーケティング(株)」が連結子会社となった。福岡ドームのリース料を年間48億円の20年契約とし、5年ごとに金額を見直すことも決まった。
球団の佐々木博茂会長(62)、高橋広幸社長(58)らが退任し、角田雅司代表(52)は留任。ソフトバンク・笠井専務が代表取締役社長兼オーナー代行、王監督が副社長に就任した。中内正オーナー(45)は取締役を退任するが、2%の株式を継続保有して非常勤の名誉顧問となる。
また、元ロッテ投手で、江戸川大助教授の小林至氏(36)が、球団、マーケティングの両社の取締役に就任する。東大出身の同氏はスポーツマネジメントに精通しており、孫オーナーの要請を受けての入団。「プロ野球発展のために貢献できる可能性のあるポジションに就任できたことは、大変、光栄に思っています」と意欲をのぞかせた。
[スポーツ報知 2005年1月29日]