王さん「やれる」清原44歳現役! 巨人史上最高齢落合超え


 【ホノルル(米ハワイ州)17日=榑松伸介、杉山彰一】運命のドラフトから19年、ダイエー・王貞治監督(64)が巨人・清原和博内野手(37)に、直接エールを送っていたことが17日、分かった。今年から名球会入りした清原に王監督は「44歳まで現役をやってくれ。到達可能な数字を考えたら、あと7年くらいはできるだろう」と、がっちり握手。巨人在籍選手の最高齢は、落合博満の42歳10か月で、王監督は清原に巨人の記録を塗り替えることを期待。千両役者に野球界を長く引っ張って行くよう、大きな期待をかけた。

 世界の本塁打王が「やれる」、というのだから間違いない。王監督は、今年から名球会入りした清原に、無限大の期待を込め、エールを送っていた。それは15日、名球会パーティーが行われた初日、初めて顔を合わせた時だった。今オフの去就問題に揺れ、悩みに悩んだ末に「生涯巨人」を決断した男に、巨人の4番として、名球会の先輩として、言葉を贈った。王監督がこの日、明かした。

 ここ数年、清原は度重なる故障に悩み、苦しめられてきた。圧倒的な存在感を見せながら、満足のいく成績が収められないでいる。王監督は40歳まで現役を続け、積み重ねた本塁打は868本。自身の経験も踏まえた上で清原に声をかけた。

 「44歳まで現役をやってくれ。体力的には十分できる。不完全燃焼だろうし、一度しかない野球人生。やれるだけやった方がいい。到達可能な数字を考えたら、あと7年くらいはできるだろう」と、激励した。

 王監督と清原の関係は、微妙な側面もあった。85年のドラフト会議。PL学園で5季連続甲子園出場を成し遂げ、超高校級スラッガーだった清原は、巨人入りを熱望。しかしドラフト当日、巨人が指名したのはチームメートの桑田だった。そんな過去があり、王監督、清原の公の場での接触は、これまでほとんどなかった。19年の時を経て「名球会」という組織で仲間となったことで、2人は言葉を交わし、がっちり手を握り合った。

 王監督の言うように「44歳まで現役」を達成できれば、巨人史上最高齢記録を達成することができる。中日監督の落合博満が42歳10か月まで、巨人に在籍していた記録が最高だ。ここ数年、故障に苦しむ清原には「やや落ち目ではないか」という周囲の声もあるが、「自分がその気になれば体は動くんだ」と、王監督は言い切った。

 完全復活をかける来季、清原はまず、自分自身の力でポジションを死守しなければならない。決して楽な状況に置かれているとは言えない。王監督は「存在感があるだけに、結果を出さないとみんなから評価されない。まずは体をしっかりと鍛えて、来季フル出場するのが大切」と、厳しい言葉の裏側に、愛情を込めた。世界の本塁打王から日本球界屈指のアーチストへ贈られた大切な大切なメッセージ。逆風に立ち向かう清原はこの言葉を胸に刻み込んで、必ず期待に応え、完全復活を遂げる。

[スポーツ報知 2004年12月19日]