王全権監督 孫社長に“ランディ獲り”要請


 ダイエー買収で基本合意しているソフトバンクの孫正義社長(47)は26日、都内で王貞治監督(64)と会談し、ゼネラルマネジャー(GM)就任を要請、快諾を得た。GM兼務での終身監督として全権を委任された王監督は超大物の外国人投手獲得を要望し、孫社長は全面支援を約束。ランディ・ジョンソン投手(41=ダイヤモンドバックス)級の超大物に照準を絞り、本腰を入れる。

 自称「野球小僧」の孫社長は「あこがれの人」と対面し、終身監督から切り出した。「本音で申し上げて、お体の続く限り監督でいてほしい」

 かつて出版社のパーティーなどで同席、面識はあったが公式に会うのは初めて。いきなりの要請に「びっくりした」と言う王監督に、さらにGM兼務の要請が続いた。「新生ホークスの創業社長のつもりで、思う存分やってください。GMですべてをお任せします」

 終身かつ全権。王監督は「情熱を感じた。荷が重いが球団に恩返しをしたい」と快諾。指揮権に編成・人事権も掌握する球団取締役となる。

 東京・丸の内のパレスホテル。ダイエー首脳も交えた会談は予定の1時間を30分超え、熱がこもった。焦点は超の付く大物外国人の獲得だった。

 孫社長から「チームメート全員が生のプレーを見て、しびれるような外国人選手がいい」と切り出すと、王監督は投手に照準を絞った。「凄い投手が入ると、全体のレベルが上がる。選手が“同じユニホームを着ているのが恥ずかしい”と感じるような選手を獲ってください」。実績も人格も兼備した大リーグのスーパースターを描いた。名前は明かさなかったが、孫社長によると「若干の具体名も出た」という。

 狙うはダイヤモンドバックスが放出濃厚な246勝左腕のランディ・ジョンソンや「99%引退」ながら現役続行の目もあるロジャー・クレメンス(アストロズ)クラス。総資産2兆円の資金力を背に攻勢をかける。

 王監督は「今までやってきたことをもう一度白紙に戻す」と補強方針の再検討に入った。「ターゲットのレベルを上げていく」「野球界の歴史を塗り替える」と意気込む孫社長の「志」が超大物を呼ぶ。

 ≪改革プラン明らかに≫孫社長独特の2つのプランが明らかになった。福岡ドーム屋根開放と街頭テレビ敷設計画だ。

 孫社長から参入あいさつを受けた横浜・若林貴世志オーナー(62=TBS副社長)によると、孫社長は「野球は青空や夜空の下がいい。屋根は開けた方がいい」と話した。年間40億円以上、約30年間で近く使用契約を結ぶ福岡ドームや球団などに開放を働きかける。

 国内初の開閉式ドームとして93年開場した福岡ドームも97年ごろから屋根を閉めて試合を開催。昼は投―捕間に影ができプレーに支障。夜は風雨など気候面を配慮。今季は全試合閉めていた。

 また、現場を王監督に任せた会談で「営業面はこちらが責任を負う。例えば、全国に1万台の街頭テレビを置き、全試合ホークス戦を完全中継する。人気も出てスポンサーもつく」と披露した。

[スポーツニッポン 2004年11月27日]