西武の球団売却報道にダイエー王貞治監督(64)が、パ・リーグ崩壊の危機に警鐘を鳴らした。
日米野球第2戦で午後2時すぎに東京ドームに姿を見せた王監督は、すでに衝撃報道を耳にしていた。詰めかけた報道陣に両手を上げてちょっぴりおどけたようなポーズを取った。球界再編問題、史上初のストライキ、そしてダイエーに続き、西武の球団売却問題…。激震に見舞われ続ける球界に王監督も困惑を隠しきれなかった。
王監督「うちの次は西武か。どうなるんだろうね。まだはっきり決まったわけじゃないんだろ? 明日になれば状況が変わってしまうかもしれないし、1回1回コメントしてもね。でも、うち(ダイエー)と西武がなくなったら、パ・リーグは終わっちゃうよ」。
大きく息を吐きながら、なかばあきれたような表情で言った。
王監督にとって、これほどまでに「グラウンド外」の出来事に振り回されたシーズンはなかった。初優勝を遂げた99年のオフから球団売却騒動の渦中に立たされ、ダイエー本社をめぐる再建問題に振り回されてきた。監督就任10年目の今年は、それが現実のものとなりつつある。すでに本社は産業再生機構の活用を決め、支援企業を求めている。球団には通信大手のソフトバンクが買収に名乗りを上げ、来季以降の球団運営がどうなるのかまだまだ不透明な状況だ。
そんな激動のオフに西武の売却問題がぼっ発。「西武の問題もそうだけど、とにかく今年は変革の年。いろいろ変わる年だね」。新球団楽天のパ・リーグ参入が決定したが、球界を次々と襲う「荒波」に気が休まる間もない。厳しい表情で東京ドームの監督室に姿を消した。
[日刊スポーツ 2004年11月7日]