泣いた王監督、プレーオフの悲劇 9回裏同点も…あと1点届かず


 西武が延長10回、代打・犬伏の中犠飛で勝ち越し、パ・リーグの覇者となった。西武が6回、石井義の2点二塁打などで逆転すれば、ダイエーは9回に柴原が同点打。まさに死闘だったが、西武は外野からの2度の好返球が最後に生きた。(勝利打点=犬伏)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
西武 0 0 0 0 0 3 0 0 0 1 4
ダイエー 0 0 0 1 0 0 0 1 1 0 3
[勝]豊田 3試合1勝1S [S]石井 2試合1敗1S
[敗]三瀬 3試合1敗1S
[本]城島3号(松坂・4回)、井口3号(小野寺・8回)

 王監督が泣いていた。試合後、ナインを選手サロンに集めた今季最後のミーティング。「来年もプレーオフはあるんだし、この悔しさを忘れてはいけない。球史に残るいい試合ができたじゃないか。勝負だから、こういうときもある。何かが足らなかったということなんだ」肩を震わせる選手を前に、涙をこぼしながら訴えた。

 プレーオフ元年の悲劇。王ダイエーの2年連続日本一の夢は、あまりにやるせない形で幕を下ろした。延長10回の死闘。ゲームセットの瞬間、指揮官は伊東監督の胴上げを見ることなく、ベンチを引き揚げた。3冠王の松中が、頭からタオルを掛けて涙を流していた。9回2死二、三塁のサヨナラ機で二ゴロ…。「僕がチームに迷惑をかけた」5試合を通じて19打数2安打、打点1の4番は、そう絞り出すのが精いっぱいだった。ただ一人、宿敵の胴上げを見つめた城島が、主砲の左肩に手をやり慰めた。9回裏の土壇場で追いつきながらの敗戦。最後まであと一歩が届かないシーズンだった。

 レギュラーシーズンでは、プレーオフ1勝分のアドバンテージを得る5ゲーム差に、あと0・5ゲーム届かなかった。それも、西武との直接対決をストで2試合流してのもの。この試合でも、4、5回に本塁で憤死する場面があった。あと1点が、133試合戦ったシーズン勝率1位を無にしてしまった。

 王監督の就任11年目となる来季はチャレンジャーに戻っての戦い。「チームの形としては、まだまだ本物ではないということ。来年、この悔しさを返す。勝っちゃうと、見えない部分もあるから」と前を見据えた。新制度に対する恨み言は、王座奪回への原動力としてのみ込んだ。

[スポーツ報知 2004年10月12日]