【パ・リーグ、西武4−20ダイエー、22回戦、西武12勝10敗、27日、西武ドーム】3万4000観衆がスタンディングオベーション。九回無死で『代打・城島』のコールが響くと、万雷の拍手が長嶋ジャパンの4番を包み込む。打球は時差ぼけとは思えない強烈な左直だったが、10傑入りした名将のメモリアル試合に、何よりも大きい花を添えた。
「絶対間に合わせます!」。指揮官の反対を押し切って、直訴したのは城島の方だった。この日夕に帰国したばかり。成田空港での記者会見を終えて、午後6時にタクシーに乗り込み、西武ドームに着いたのは同8時40分。ユニホームに着替えると、30分後には打席へ立っていた。
「出るときも快く送ってもらって、温かく迎えてもらった。やりやすかった」。日焼けした城島は安どの息をつくと、“男の契り”を果たした役者の登場に「盛り上がったね」と王監督。ベンチの快勝ムードも最高潮に達した。
時差ぼけなんていっていられなかった。西武との首位攻防戦に加え、王監督が1034勝でアテネ五輪代表監督の長嶋茂雄氏に並ぶ。五輪で抜けた間、チームは8勝8敗1分と苦戦。誰よりも責任感の強い城島だけに、王監督の下で1打席でも早く穴埋めをするとともに、笑顔でアテネに送ってくれた指揮官に恩返しをしたかった。
「1034勝? 全然関心がない。選手のやることだから」
相変わらず記録には無関心の指揮官だが、城島効果で6人猛打賞で今季最多タイの24安打。16試合ぶりの2ケタとなる20得点で2位西武に2.5差と突き放した。
「選手も城島は一番いいタイミングで戻ってきてくれた」。頼もしい役者の復帰。プレーオフ1位選出へ、さあ鷹が強い羽ばたきを取り戻した。
[サンケイスポーツ 2004年8月28日]