王ダイエーM50点灯!! 最初で最後の!?プレーオフ


 王ダイエーにプレーオフ進出へのマジックナンバー「50」が点灯した。世界の本塁打王が誇る重量打線が松中、城島のアベック弾など今季10度目の2ケタ得点で近鉄を粉砕。オリックスと近鉄の合併問題を発端にした球界再編の動きの中、1リーグ制導入なら今季限りで消滅する危機を迎えたパ・リーグ。最初で最後になる可能性もある新プレーオフ出場に、パ・リーグの雄が圧倒的な強さを見せつけて、大きく前進した。

 輝かしい野球人生の中でも、間違いなく大きな節目となる今季。力強く勝利をもぎ取ったナインを出迎えながら、王監督は連覇にかける思いを一層、強くした。「打線がつながったね。2回の川崎のタイムリーが大きかった。アベック弾? クリーンアップが打てば、勝てるということなんだ」2回に5安打を集中して4点を先制すると、クライマックスは5回だ。

 修羅場をくぐり抜けてきた松中、城島の4、5番コンビが、連続アーチをかけた。9回には左肩の故障などで出遅れていた大道が、代打で登場。今季初打席で左中間二塁打を放つなど、手塩にかけたナインが、所狭しとダイヤモンドを駆けめぐり、3位以内に入るプレーオフ進出マジック「50」が、早くも点灯した。

 もはや、2年連続日本一しか見えない1000勝監督。だが、人気球団の巨人から、スポットライトを浴びにくいパ・リーグを選択し、ダイエーを常勝軍団に育て上げた自負があるからこそ、球界に対して、意見せずにはおれなかった。

 厳しい表情で切り出したのは、試合前だった。「2リーグ制か1リーグ制か、早く決めてほしい。今は非常時。ファンは“野球界は何をやってるんだ”と思っちゃうよ」近鉄、オリックスの合併問題で揺れ動く球界。1リーグ制移行の流れが、このまま加速すれば、今季は最後のパ・リーグ覇者を決める戦いになる。オフには博多で10年間の監督生活を送った殿堂入り監督の去就が、注目されることも確実だ。だが、個人のことより、球界の行方を心配する発言には、歴史をつくってきた者にしか出せない重みがあった。

 主張はそれだけで終わらない。新球団の選手保有枠問題にも触れ「両球団が出す案は(他球団は)すんなりのまないだろう。ダイエーと巨人が合併したら、絶対に強くなるが、それは許されない。補強になる合併? それは防がないと…」と、既存球団の不利益にならないような配慮も、必要不可欠と訴えた。

 巨人時代を含めて、自身の監督生活で5度目のリーグ優勝、そして2年連続3度目の日本一へ突き進むダイエー軍団。自身の栄光とパ・リーグのプライドのため、そして頼もしく成長した教え子の未来のため「5ゲーム差をつけての1位」を目指す指揮官は、前だけを見据えて、王道を突き進む。(長瀬 哲也)

◆パ・リーグのプレーオフ

 第1ステージが10月1日から3日間、第2ステージは10月6日(8日は予備日)から実施する。両ステージともに延長は時間制限なしの12回まで。開催地、興行権はシーズン上位チームが持つが、同率チームの対戦は前年度の上位チームに与えられる。

 ▼第1ステージ レギュラーシーズンの勝率2位と3位のチームが3回戦制(2勝先勝)で戦う。勝ったチームが第2ステージに進む。対戦成績がタイのときはシーズン勝率上位のチームを勝利とする。

 ▼第2ステージ レギュラーシーズンの勝率1位チームと第1ステージの勝者が5回戦制(3勝先勝)で戦う。第1ステージ勝者とシーズンで5ゲーム差以上をつけた時、1勝のアドバンテージを得て第1戦は不戦勝となる。対戦成績がタイの場合は1位チームの勝利。勝者がリーグ優勝チームとして日本シリーズに進出。

 ▼主な特殊ケース レギュラーシーズンで〈1〉3位に2チームが同率で並んだ場合は1試合のプレーオフ進出決定戦を実施。〈2〉同率1位が2チームの場合、第2ステージのみの実施で3位はプレーオフに進出できない。〈3〉2位が2チームの場合、この2チームで第1ステージを争う。

[スポーツ報知 2004年6月28日]