おめでとう!祝砲連発で王監督1000勝達成


 【ダ9―6日】おめでとう、王さん。ダイエーの王貞治監督(64)が巨人時代の本拠・東京ドームで、プロ野球史上11人目となる監督通算1000勝を達成した。868本塁打など数々の記録を残した偉大な選手としてだけでなく、偉大な指揮官としても球史に名を刻んだ試合を象徴するように、手塩にかけて育てた松中、井口、城島らが祝砲。指揮官となって15年目のうれしい、うれしい大台到達となった。

 松中からウイニングボールを渡され、王監督は少し照れくさそうに受け取った。両手を上げて、スタンドの声援、そしてスタンディングオベーションに応える。さまざまな思いが込み上げたのか目は少し充血していた。

 「華々しかったね。うちらしいといえば、うちらしいね。ファンが喜んでくれてよかったよ」

 東京ドーム元年の88年、巨人を率いていた王監督が、かつての本拠で史上11人目の通算1000勝達成。これも何かの縁か。この日、3年前に亡くなった恭子夫人の墓に手を合わせた後、球場入り。「東京ドームはやっぱりいいね」と気持ちを新たにして臨んだ試合だった。

 区切りの勝利へナインも奮起。世界の王の代名詞・ホームランで日本ハムを圧倒した。松中、井口、城島…愛弟子たちが祝砲を上げる。手塩にかけて育ててきた選手たちが“監督に1000勝を”と暴れ回った。

 「これまであっという間に過ぎたね。最初は手探り状態だったけれど駄目でもやらせてもらえたことが大きかったと思う」。95年に単身で新天地・福岡に。監督人生で初めて最下位に沈んだ96年には試合後に生卵をぶつけられる屈辱も味わった。常勝を宿命付けられた巨人の5年間と万年Bクラスから日本一にまで引き上げたダイエーでの10年間。1勝の重み、思い出はそれぞれに違うものがあるだろう。

 足掛け15年。その間、励みになったのは永遠のライバルの存在だ。「長嶋さんの年ぐらいまで監督を続けられたらいいな」。65歳まで巨人の監督を続けた現アテネ五輪日本代表・長嶋監督のことに触れ、親しい関係者にそう漏らしたことがある。1000勝到達は、現在リハビリに励んでいるミスターへの力強いエールにもなった。次の目標はその長嶋監督の通算1034勝、そして連覇だ。

 「ボールは球団に預けることにするよ。終わったことには、とらわれない方だから」と1000度目の笑顔を振りまいた王監督はこう続けた。「選手が頑張ってくれたおかげだよ。1つ1つこれからも勝ち続けていきたい」。あくまで“主役は選手”を貫くこの姿勢が1000個の白星を積み上げ、1100、1200へと伸ばしていく。

[スポーツニッポン 2004年6月8日]