1000勝監督より“王”将の道


 イチロー、清原の2000本カウントダウンが騒がしいが、ダイエー・王監督も過去10人だけという、偉大な金字塔へ近づいた。首位・西武との直接対決(21日、西武ドーム)に先勝し、巨人監督時代から通算991勝目。1000勝カウントダウンが始まった。

 「どんなヘボ監督だって1年に50勝はする。長くやってりゃ誰でもできる記録」と王監督。年間50勝の監督に20年も指揮を執らせるほど、プロの世界は甘くない。“1000勝監督”の称号を得ているのは、日本プロ野球70年の歴史の中で10人しかいない。

 しかし、王監督は本当にこだわっていない。この日も“目先の1勝”を捨て、最終的な目標である「公式戦1位」への意欲を見せた。右脇腹の違和感で欠場中の松中が、この日から打撃練習を再開。「大丈夫です。この方がコンパクトにバットを振れます」と、強行出場を訴えてきた。

 松中は今季の西武戦で打率.519、6本塁打と大当たり中。西武には3連勝後、1勝4敗。直訴を受け、以前なら見切り発車させていた。だが、「先はまだまだ長い。ここで無理をさせたら、完治までもっと時間がかかるよ」(王監督)とあえて我慢だ。

 1000勝を積み重ねる過程で、指揮官も常に変化し続けてきたということ。当人がそっけないため盛り上がりは今一つだが、長く厳しかった足跡をたたえる必要性は大きい。

[夕刊フジ 2004年5月22日]