王監督ショック…「信じられない」


 ウソだろ、そんなはずがない――。長嶋さんが脳卒中の疑いで倒れる。誰もが信じたくない衝撃のニュースは瞬く間に日本中を駆け巡った。長年の盟友であり、よきライバルでもあるダイエー・王貞治監督(63)は福岡で、現役時代は打倒・巨人、打倒ONに燃えた前阪神監督の星野仙一氏(57)=現シニアディレクター=は米フロリダ州タンパで長嶋さん倒れるの報に驚き、1日も早い回復を祈った。

 福岡ドームの横浜戦を終え、福岡市内で開催された財界応援団体「王友会」のパーティーに出席した王監督の元に届いた一報。「えっ?長嶋さんが?」と耳を疑ったところに受けた衝撃の大きさが表れていた。

 「詳しいことが分からないので、正式な話はできない。だけどそれにしても体には人一倍、気をつける健康優良児みたいな人なのに。いつも走ったり、いろんなことをやっているだけに信じられないというのが正直な気持ちだ」

 ON砲として巨人のV9に中心的な役割を果たし、球界の発展に貢献。2000年にはON対決シリーズも実現させ20世紀を締めくくった。「今日の僕があるのは長嶋さんのおかげ。かつての阪神に村山さんと江夏、広島の山本浩二と衣笠、西武に清原と秋山がいたように、2人がいるからこそ、力を出し合える部分があった」とつい最近も懐かしそうに話していた。

 2月8日には宮崎キャンプ訪問を受けたばかりだっただけに、ショックは隠し切れず「とにかく1日も早い全快を祈るしかない」と自分に言い聞かせていた。

「まさか…」星野SD絶句 「まさかアメリカでこんな連絡を受けるとは…」。ショッキングな一報を米フロリダ州のタンパで聞いた前阪神監督の星野仙一氏(現シニアディレクター)は思わず言葉を失った。
 「えっ、本当か。どうしたんや。あんなに元気だったのに…」

 1日にニューヨーク入りした星野氏は前日(3日)にフロリダ入り。この日、ヤンキースのキャンプ地タンパを訪問直前、ホテル周辺を散歩中に東京からの連絡を受けた。「あれだけ体に気を使う健康オタクみたいな人が…」と言葉も途切れがちで「大したことはないと思うが…。大事に至らなければいい」と絞り出すようにつぶやいた。

[スポーツニッポン 2004年3月5日]