区切りの10年目進退かける
節目の就任10年目を迎えたダイエー・王貞治監督(63)が、自身の去就について、揺れる胸中を明かした。今季、V逸なら勇退だが、連覇なら続投か―。昨オフ、球団側の複数年契約の打診を拒否して、1年契約で挑む今シーズン。注目の決断は、チームの成績が大きく関係することになりそうだ。
胸中を明かす
連覇を逃したときは、ユニホームを脱ぐ覚悟を決めている。「これからは、すべて1年勝負ですよ。勝てなければ、テコ入れしなければならない。一人の者が長くやっているとマンネリ化が生じやすい」ときっぱり。結果が伴わなければ、チームのためにも自らが去るべきという考えを示した。
だが、10年目を一区切りと考える一方で、野球一筋に生きてきた男の夢もある。「ユニホームを着たまま死ねればいいと思っているけど、これは個人の考え方。なるようになるでしょう」できることなら、ずっとグラウンドに立ち続けたいという思いもあるようだ。
いずれにしろ、今季は自らの進退が大きく注目されることは自覚している。「早くから優勝争いから離れてしまうと、そういう話が出やすいだろうね。開幕ダッシュが今まで以上に大事になってくる」と、開幕からムチを入れることを宣言。
ここ5年間で日本一2回、リーグ優勝3回、2位2回の黄金時代を築き上げた指揮官。「9年はアッという間に過ぎた。最初の3年は、それまでの野球人生で学んだものを選手に伝えて戦ったけど、結果に結びつかなかった。4年目で5割になった。3年だめでも、4年目をやらせてもらえた。九州でなければクビになっていた」と苦難の道を感慨深げに振り返った。
右肩上がりの成績をさらに輝かせるためにも、狙うは2年連続の日本一だ。「再挑戦の年にしたい。前回、できなかったことをぜひ達成したい」節目となる10年目、自らの進退の決断は大勝負が終わってから考える。
[スポーツ報知 2004年1月1日]