大揺れの1日だった。朝方は北海道を襲った大地震の一報で寝起きを揺すられ、試合前には球界を激震が襲った。巨人・原監督の辞任発表。そして、ダイエーは延長十二回裏にサヨナラ負け。リーグ優勝へのマジックは「2」のままで、王監督は深夜になって体が硬直してしまった。
偵察にきていた島野ヘッドコーチ以下、阪神の各担当コーチはさっさと帰って正解でした。ダイエーは拙攻の連続で、阪神は、さぞニンマリしたことでしょう。
一夜で王監督は気持ちを切り替え、再びチームに勢いを取り戻せるだろうか。好選手は気持ちの切り替えがうまい、といわれるが王監督もそんな一人だ。
「おれは過去に執着したり、感傷に浸るタイプではない。今では現役時代にどうやってホームランを打っていたのかも忘れてしまったよ。うん、だから打てたんじゃないかな」と話している。
実際に打ち方を忘れてしまったかは分からない。だが、打てないとき(失敗)を引きずらない、という話は説得力がある。監督になっても同じこと、と教えてくれているのだ。
王監督のふだんのリフレッシュ方法は、パソコンにデジタルカメラ。そして美術鑑賞という。
「20年前からワープロを使っていて、そのままパソコンに入った。携帯電話のメールは(老眼で)見えないので、パソコンでメールのやり取りをしている」
特に最近、凝っているのがデジカメとか。「花や人物、風景など、なんでも撮り、パソコンに取り込んでいる」そうだ。
球界でもトップクラスの酒豪でならした王監督だが、さすがに63歳で酒量は落ちた。ビール専門で、ジョッキ3杯が限度になった。
連日の勝ち負けでストレスは想像を超えるが、こんな解消法で連日の戦いを続けている。ショックが大きいサヨナラ負けだったが、王監督に限って関係ないはずだ。いずれにしろ、リーグ優勝の美酒に浸る瞬間はもうすぐなのだから。
[夕刊フジ 2003年9月27日]