最短Vは27日-。リーグ優勝へのマジックを「2」としたダイエー・王監督から日本シリーズを意識した言葉が聞かれた。「(リーグ優勝は)なるべく早い方がいい。日本シリーズに向けて調整しないといけないんだから」。前日はエース斉藤で黒星。この日は連敗は許されなかったが、和田が期待通りの投球で王監督の喜びを倍増させた。
王監督は理想の投手陣の一つとして、「ローテーションの柱になってくれる投手が2人いると強い。連敗をしないで済むから」と話している。今季の斉藤と和田を意識した言葉に他ならない。
8年目にしてエースとして開花した斉藤に対して、ルーキーで投手ローテの両輪の一角を担う和田。2人を見ていて、王監督のある話を思いだした。
王監督は「おれは選手としては遅咲き。現役時代は長嶋さんみたいに1年目から活躍したわけではない。結果(38ホーマーで本塁打王)がでるまで4年かかっているんだから」と話している。
高卒の王監督が、4年目でタイトルを獲得したのを決して「遅咲き」とはいわないだろう。王監督は常に先輩である長嶋茂雄さんをたて、巨人では"二男"に徹してきた。数字に表れた成績は王監督が長嶋さんを上回る。にもかかわらず、この姿勢をいまだに貫いていることには敬服する。
それはさて置き、投打の違いやスケールの違いはあるものの、王監督は斉藤、和田の2人にONのような関係を作り上げてもらいたいと願っている。そして、そうなりつつある。
原因不明の肩痛などを克服してようやく今年、20勝に王手を賭けるまでになった斉藤。一方の和田は一戦、一戦、進化している。
和田の持ち味の一つが緩急を使った投球。直球は速く、変化球は遅ければ遅い方がいい。この日はチェンジアップに新感覚を見いだしたという。
和田は「だいぶスピードが遅くなるようになった。自分の中で新しい、これまでと違った感覚があった」と話した。
まさに2人が切磋琢磨する中でのレベルアップ。斉藤、和田が万全なら阪神投手陣にも引けは取らない。
[夕刊フジ 2003年9月26日]