M14、王「最後まで競って」倒れ込みV覚悟


 「しんどいがやるしかない。途中で投げ出すわけにはいかんのだから」。優勝へのマジックを一気に2つ減らして「14」にしたダイエーだが、試合後の王監督は厳しいコメントに終始した。

 2位西武とは再び4.5ゲーム差。ダイエーの優位は動かないが、ここにきて投打がそろって下降線。それが王監督を慎重にさせている。加えて、現場では手の施しようがない球団の身売り報道。

 「おれは現役時代からペナントレースで、リードされていたものをひっくり返したことはあっても、ひっくり返されたことはないからね」

 王監督は39年間のユニホーム生活で、一度も逆転Vを喫したことがないという。この日は8安打で7得点。よくいえば効率よく得点したことになるが、監督の目には「貧打線」でしかない。「悪いことは続かない。(打線は)そろそろ上がってくる」と自分に言い聞かせるように話した。

 といって慌てているわけではない。「終盤の日程を見るとスカスカというわけでもない。ローテーションは動かさずに守っていきたい。確かに(足の故障で離脱中の)新垣がいないのは厳しいけどね」と王監督。斉藤、ナイト、和田、水田、杉内の5投手で中5日の間隔を維持する予定。

 「まあ最後の最後まで競って、残り3試合くらいになったら(投手陣のスクランブル起用を)考える」という。いま動けば、後になってしわ寄せがくる。それだけは避けたいのだ。

 「本当は10試合くらい残して優勝したかった」と本音も漏らした。日本シリーズに万全の準備を敷きたいのは当然だが、構想とは逆に、倒れ込むようにリーグ優勝し、シリーズに突入することになりそうだ。

[夕刊フジ 2003年9月9日]