マジック点灯Xデー間近の星野阪神に対し、パは王ダイエーvs松坂西武vsいてまえ近鉄の激烈な三ドモエ戦を展開中。最後の最後まで予断を許さない。が、世の中では星野阪神vs王ダイエーの日本シリーズ待望論が沸き起こっている。
7日、相次いでセ、パの理事会、実行委員会が開催。12球団代表にとって会議デーだが、胸を張れるのはペナントレースの勝ち組だけ。
今や落日の原巨人をしのぎ、セ・リーグナンバーワンの観客動員力を誇る星野阪神。連日、本拠地・甲子園は大にぎわいなのはもちろん、ビジターでも阪神戦はプラチナチケットになっている。
18年ぶりの阪神優勝、星野監督の胴上げを見ようと日々、人気が異様に高まっているからだ。
「近鉄相手では関西ローカルシリーズ。西武でも盛り上がらない。巨人以上の人気球団になった星野阪神と、パ・リーグで観客動員独り勝ちの王ダイエーで初めて最高の日本シリーズなる」と、コミッショナー事務局、連盟関係者が舌なめずりするのは当然だろう。
世の中の大不況はコミッショナー事務局、セ、パの連盟事務所の金庫も直撃。「金庫の中は空っぽ」という、最悪の財政状態になっている。
それだけに、星野阪神vs王ダイエーというセ、パの集客力ナンバーワン同士の黄金対決を期待する声が沸き上がる。
関係者の現金なドル箱シリーズ待望論というだけではない。世界の王が出てくれば、本来ならシリーズに背を向ける巨人ファンまで熱くなれる。
「巨人に代わって大OBの王さん率いるダイエーに星野阪神を討ってもらいたい」という熱烈な王ラブコールが期待できる。
身売り危機と背中合わせのダイエー・王監督に対しては、「ワンちゃんだけは何があっても救う」と巨人・渡辺オーナーが断言している。
世界の王は、長嶋終身名誉監督同様に、今でも巨人軍の至宝であることに変わりない。ONコンビは永遠に不滅だ。
現役時代から打倒・巨人軍を生きがいにしてきている阪神・星野監督にとっても、王ダイエーは一番燃える相手だ。
というのも、シリーズでも因縁がある。4年前、中日監督として長嶋巨人を下してリーグ制覇した星野監督。日本シリーズでは王ダイエーに1勝4敗と惨敗している。
宿敵ONコンビを一気にたたいて自身初の日本一監督になるという、最高の晴れ舞台を逃しているのだ。
それだけではない。王監督に報復された格好になった。実は、巨人・王監督vs中日・星野監督の間には伝説的な遺恨戦があったのだ。
クロマティに対する危険球を引き金に大乱闘がぼっ発。星野監督が球界の聖域だった世界の王の胸ぐらをつかむという、前代未聞の事件が起きている。
「世界の王に手を出すなんて、星野を許すな」という世論が沸騰したが、王監督は沈黙を保ったまま。ダイエー監督として中日・星野監督を一蹴することで積年の恨みを晴らしている。
負けず嫌いの星野監督としたら、今度こそ王ダイエーに雪辱を期しているだろう。
しかも中日時代の2回と合わせ、自身にとって3度目の日本一への挑戦。3度目の正直で、阪神にとっても18年ぶりの日本一の座という栄光を、何が何でもつかみたいところ。
星野阪神vs王ダイエー待望論には、納得できる様々な理由がある。
[夕刊フジ 2003年7月7日]