早く返して…王監督が夫人の遺骨盗まれ悲痛な訴え


 ダイエー・王貞治監督(62)の夫人で、昨年死去した恭子さん(享年57)の遺骨が、都内にある王家の墓所内から何者かに盗まれていたことが25日、明らかになった。都内の自宅で取材に応じた王監督は「こちらとしては早く返してほしい。とにかく、ウチにとってかけがえのないものだから…」と、悲痛な表情で犯人に訴えかけた。

 寒さは日を追うごとに厳しさを増している。とにかく元にあった場所に、一刻も早く戻してあげたい。最愛の妻、恭子さんの遺骨を都内の寺から盗まれた王監督が、都内の自宅ガレージで犯人に向けて訴えかけた。

 「びっくりしたよ。こちらとしては、早く返してほしい。僕の熱烈なファンで、僕の骨が入っているのならばわかる気もするが、女房のだからね。理由も理解できないんだよ。とにかくウチにとって、かけがえのないものだから。それ以外の人には、ね…」

 昨年12月11日に胃癌で亡くなった恭子さんの一周忌法要を先日終えたばかり。その直後にふりかかった予期せぬ災難にも王監督は決して怒りを表に出さず、まるで犯人に諭すような口調で話しかけた。

 「11日にお墓に行ったときは、(盗まれているかどうか)わからなかった。だから、いつ、そう(盗まれた)なったのかよくわからないんだ。簡単に動かせるものではないということなんだがね。警察も調べてくれているんだけど、心当たりはないんだよ。犯人から連絡があると思ったけど、それもないしね。今は静観しています。こちらからは、どうしようもない。一方通行だから。連絡待ちです」

 盗掘が発覚したのは、21日だった。野球事情視察のため訪れていたドミニカ共和国から帰国したのが23日。警察からも事情を聴かれたが、犯人について思い当たるふしはない。

 「盗ったであろう人の誠意に頼むしかありません」

 7年間の交際の末、昭和41年に結婚してから亡くなるまで、世界のホームラン王を陰で支え続けてくれた愛妻の遺骨が戻らなければ、年も越せない。心ない犯人からの、なんらかの働きかけを待つだけだ。

[サンケイスポーツ2002年12月26日]