ダイエー、ポスト王に秋山のメはなし


 今季限りの引退を表明したダイエー・秋山幸二(40)が、ポスト王として、次期監督に就任する可能性は、限りなくゼロに近い。王貞治監督(62)が否定。実際に、球団側は、定岡智秋二軍監督(49)を筆頭候補にあげているからだ。

 九州出身、ファンにアピールするネームバリュー。ポスト王として、ダイエー秋山監督が誕生しても何の不思議もない。

 ところが、王監督が否定している。親しい球界関係者にこう漏らしているという。

 「秋山監督はないよ。球団側は、将来の切り札監督として、小久保一本に絞っているからね」

 中内正オーナーと同じ青山学院出身の小久保は、別格扱いになっており、秋山が入り込む余地はないというのだ。

 確かに、オーナー代行時代に、「小久保、井口といるし、将来、青学ホークスを作りたい」と、口走ったほど。

 それにしても、まだプロ入り9年目、31歳の小久保が監督になるのは、先の先の話だろう。

 2年連続V逸の屈辱を晴らすために、来季は王監督が続投する。新外国人探しのために、自ら中南米に行く準備までしている。

 が、その後はどうなるのか。「球団首脳は、できる限り、王体制を長く続けてほしいと願っている」と、球団関係者が明かすものの、願望にすぎない。

 王監督自身は、「いつまでもONの時代ではない」と、言い切っており、昨年の巨人・長嶋茂雄監督の勇退を時代の流れととらえている。自身の進退に関しても、今季限りと腹を決めていた。

 ところが、西武の大独走を許す思わぬ惨敗。もう一度、チームを立て直すために来季、続投を決意している。

 それだけに、いくら球団側が、半永久政権を望んでも無理だろう。早ければ、来シーズン終了後にも、ポスト王人事を迫られることになる。

 秋山次期監督がないなら、誰なのか。定岡二軍監督が本命なのだ。

 「球団側とすれば、オレの後の監督は、フロントの言うことを聞く人間を据えたいのだろう」と、王監督が、口にしたことがある。

 超大物の王監督相手では、さすがに好き勝手できない球団首脳は、フロント主導でいける次期監督を考えており、定岡二軍監督を筆頭候補にしている。

 「定岡二軍監督が最有力候補なのは間違いありません」と、球団関係者が明言する。

 「候補に定岡の名前があるのは事実だよ」と、王監督も認めている。

 定岡二軍監督とは全く意外な名前だが、今季、西武が地味そのものの伊原コーチを監督に昇格させ、大成功の実例がある。ネームバリューでなく、チームを掌握している実務型監督ともいえる。

 もっとも、「先の話をしても、ダイエー球団がいつまで存続するかわからないじゃないか」という、球界関係者のシビアな指摘も核心を突いている。

 ポスト王人事は、球団身売り問題も絡んでおり、波乱含みの要素が残る。

[夕刊フジ2002年8月28日]