新生・原巨人の1番打者に指名され大張り切りの清水隆行外野手(28)に、新たな憂鬱(ゆううつ)。長嶋茂雄終身名誉監督(66)の宮崎キャンプ訪問と同時に、清水の頭上に立ち込めた暗雲とは−!?
19日に初めて原巨人の宮崎キャンプを訪問した長嶋氏。実は、マスコミやG党の知らないところで、衝撃波を発していた。
直接目撃した関係者によると、こうだ。フリー打撃を、ゲージの真後ろで見つめていたミスター。仁志には「ナイスバッティング! いいぞ、腕が伸びてる」などと絶賛。ところが、清水がさく越えを連発するのを見ると、さかんに首をかしげた。
そして、例の甲高い声で「う〜ん、清水あたりがポンポンさく越えを打つところを見ると、この球場(サンマリンスタジアム宮崎)の両翼は100メートルと書いてあるけれど、そんなにないのかなあ。狭いんだなあ」。
これには、打っていた清水もガクッ。吉村打撃コーチが「なぁ、清水、このオフはウエートをガンガンやってきたから、パワーアップしたんだよな」とフォローしたときには、既にミスターの視線は他へ移っていて、何も耳に入らない状態だった。
「いやあ、長嶋さんはああいう方だから、別に悪意はないんだろうけど、それにしても清水は怒ってましたよ」と、ナインのひとりは証言した。
清水は、「他球団なら3番か4番に定着できる」といわれる打撃力を持ちながら、長嶋政権下では「左対左に弱い」という固定観念から、左投手が出てくるとベンチに下げられるケースが圧倒的に多かった。
ところが、原新監督は「1番清水、2番仁志」の新構想をぶち上げ、清水本人に「今年は、左が出てきたからといって代えるくらいなら、最初から使わないぜ」と言明。清水は「プロ入り7年目ですが、今年ほど監督の期待を肌に感じる年はありません」と張り切っていた経緯がある。
しかし、頼みの原監督の言動にも、ここにきて微妙なブレが。
原監督は、親会社系列の日本テレビ系の番組に出演した際、新打順について、「私の思い通りの2番は、清水ではできない。この役割をこなせるのは、仁志しかいない」と発言。これでは清水の面目が丸つぶれだろう。
ある球団関係者は「原監督は、“清原組”の番頭格の元木や、スネると面倒な仁志のことは、おだてておきたいのだろう。清水は、地味な性格で損をしている」と指摘する。
97、98年に連続3割。昨年も、規定打席数に足りなかったものの、リーグ2位の古田(ヤクルト)と同率の.324をマーク。それでも、一流扱いを受けたことのない、気の毒な清水。天敵ともいえるミスターはあす24日に再び宮崎入りし、オープン戦開幕の近鉄戦を観戦するが、清水は逃げ出したい心境かもしれない。
[夕刊フジ2002年2月23日]