しめやかに王監督の夫人、恭子さんの通夜


 11日に胃がんで死去したダイエー・王貞治監督(61)の夫人、恭子さん(享年57歳)の通夜が13日、東京・目黒区の円融寺で営まれ、各界から約1500人が弔問に訪れた。ハワイで家族旅行中だった小久保裕紀選手会長(30)は、単身でとんぼ返りして参列。「監督がさい配を振るう間は優勝し続ける。それが奥さまへの供養」と、霊前に永久Vを誓った。

 長旅の疲れなど、言っていられなかった。まさかの悲報に、小久保が大急ぎで、冬のバカンスを切り上げてきた。家族旅行先のハワイから、緊急帰国。11日に亡くなった王監督夫人、恭子さんの通夜に姿をみせた。

 「監督は、そういうことを一切、シーズン中には出さなかった。それだけに、今年は優勝しなければならなかった…」

 9日に、家族とともにハワイへ旅立ったばかり。訃報に接し、家族を残し、単身で12日夜に帰国。この日、東京へと駆けつけた。

 式場には、およそ1500人の参列者。王監督の実に幅広い交友関係を物語るかのように、政財界、各スポーツ、芸能界らの著名人がズラリ。その中で、小久保は「少しでも監督のお役に立ちたいから」と、ダイエーの選手・スタッフ45人の先頭に立ち、受付の窓口に立ち、多くの参列者に頭を下げ続けた。

 「監督がさい配を振るう間はこれから、ずっと優勝し続けないといけないと思う。それが供養になりますから」

 通夜の営まれる間、参列者の一人ひとりに、立ったまま挨拶を行った王監督。その姿に、小久保の心も動いた。恭子さんの霊前に誓った『王ダイエー・永久V』。奥さま、安らかにお眠りください。監督にはもう、心配はかけませんから…。それが、鷹戦士を代表しての手向けの言葉だった。

 「選手たちが、そんなこと、言ってたの? 優勝ね。当然だよ」。中内正オーナー(42)も、大きくうなずいた。傷心の指揮官。しかし、支える選手たちは力強かった。監督のため、そして、恭子夫人への供養のため、絶対にV奪回を果たす。年が変わる前に、ナインの気持ちは一つになっていた。

[サンケイスポーツ2001年12月14日]