ダイエー・王貞治監督 去年対決できてよかった
「寂しくなる。6年かったが去年、念願のON対決をできたのはよかったと、今思う。(自分は)グラウンドを離れた時の気楽さがあるが、長嶋さんの場合は365日、巨人の監督でありスーパースター長嶋茂雄。プレッシャーというのは周りには想像もつかないものだったと思う。野球一筋できたのだから、しばらくはのんびり命の洗濯でもして心身ともに休養してもらいたい。原監督は1、2年は戸惑うだろうが大きな心で見守ってやってほしいと巨人軍OBとして思う」
【セ・リーグ監督】
野村監督「おれは感づいていたんや」
長嶋監督勇退の知らせを聞いて、野村監督は神妙な顔つきだった。
「おれは感づいていたんや」。何度もベンチで対峙(たいじ)して、元気のなさに気づいていたという。ヒマワリ、月見草と自ら比較した長年のライバルがユニホームを脱ぐ。「寂しいし、残念に思うが、人間には勝てない時代の流れがあるんだ」。ぽつりと語った。
阪神は10月1日に甲子園で巨人と対戦する。くしくも和田の引退試合が、長嶋監督の最終戦と重なった。和田は「僕は長嶋さんにあこがれて野球を始めた。まさか、最後の試合が同じになるなんて…」。言葉を詰まらせた。
野村監督 「ことしは元気がないなとは思っていた。彼は選手、監督を通じて多大にプロ野球に貢献し、支えてきた。その功績に対して、心から敬意を表したい。(勇退は)寂しいし、残念に思うが、人間には勝てない時代の流れというものがある」
横浜・森祇晶監督「寂しい」
「驚いた。選手時代ずっと一緒にやってきて、監督としても日本シリーズで戦ったことも考えると寂しい。長い間ご苦労さま、と言いたい。これからも野球界のために側面からバックアップしてほしい」
若松監督、驚きを隠せず
ペナントレースで追い上げる巨人を競り落としつつあるヤクルトの若松監督は「何で急に。来年も(監督を)やると思っていたけど」と突然のニュースに驚きを隠さなかった。
長嶋監督から「若ちゃん」と呼ばれるなど「かわいがってもらった」と話す若松監督の神妙な表情からは尊敬と親愛の情を持っていたことが伝わってきた。若松監督は一番の思い出として1972年にオールスターゲーム初出場を果たした時に現役だった当時の長嶋監督から「体が小さいのに足が太いね、と言われたんだよ」と昔の記憶を思い起こしていた。
星野監督「事前に辞任を伝えられた」
長嶋監督の辞任の知らせを聞いた星野監督は、さすがに寂しそうだった。
自身が今季限りでの辞任を発表した25日に「僕が辞任を発表する前に辞めないで」と電話で言われたという。「今思うと、こういうことなんだな」と感慨深げに話した。
長嶋監督とはプライベートでも仲が良く「おれが最下位だった時、健康第一だよ、という手紙をもらった。勝負を超えたものを僕に教えてくれた。普通、そんなことしないよ」と思い出話を披露。最後は「われわれには次の世代に野球を伝える義務がある」と同じくユニホームを脱ぐ者としての思いを述べた。
星野仙一監督 「現役時代、そして監督としてプロ野球そのものをミスターに教えられた。熱いものを感じさせてくれた。おれが辞めて、あなたも辞めてどうする、という感じだが、ミスターは疲れたんじゃないの? 巨人の監督はほかのチームに考えられない重圧があるからな」
広島・山本浩二監督
「昔から戦っていて特別な存在だった。人をひきつけるものがあったし、こちらも燃えるものがあった。それにしても、この間の星野といい、ミスターといい、華のある人が2人もいなくなってしまった」
【パ・リーグ監督】
ロッテ・山本功児監督
「巨人に入ったときが長嶋さんだったし、何から何までお世話になった。いつも新鮮で、何をやっても絵になる人。みんな寂しがるね」
西武・東尾修監督
「来年はサッカーのワールドカップもあるし、プロ野球界のシンボルがいなくなるのは大きいのではないか」
近鉄・梨田昌孝監督
「さびしい。僕らの時代はみんな長嶋さんにあこがれて野球を始めた。野球の神様のような存在だった。気さくに声をかけてもらった。これで時代は変わっていくんだけど、本当のスーパースターだった」
日本ハム・大島康徳監督
「突然のことでびっくりしている。いろいろな思い出があるが、今はただ、お疲れさまでした、という一言に尽きる」
オリックス・仰木彬監督
「(自らの退陣会見で)一新という話をしたが、確かにそういう時期ではあるだろうし、この世界は常に勝敗がついて回る。もっと長くやってほしいという願望があるが、そうと決めたのなら非常に潔い引き際だと思う」
【野球関係者】
豊蔵一セ・リーグ会長
「星野監督の辞意表明に驚いたと思ったら、今度は長嶋監督もと聞いてびっくりしている。両監督ともプロ野球の繁栄を支えてくれた功労者であり、相次いで辞意を表明されたことを残念に思う。本当にごくろうさまでした、というだけ」
巨人元監督・川上哲治氏「長い間ご苦労さまでした」
「長い間ご苦労さまでした。テレビで退任会見を拝見したが、虚心坦懐(たんかい)というか、本当にいい顔をしていた。やるだけのことはやった、という表情だった。巨人の監督は大変重圧がかかる。それを長嶋君は持ち前の明るさと勝負度胸で跳ね飛ばして、巨人とプロ野球の発展のために必死に戦ってきた。しかし、もう65歳だし、原という後継者を得て区切りをつけたかったんでしょう。これからも側面からプロ野球を支えてほしい
」
小池唯夫パ・リーグ会長
「大変驚いている。長嶋監督はミスタージャイアンツであると同時に、プロ野球全体にとって最大の功労者で、日本のプロ野球全体を代表する人だった。現役、監督として残した長嶋監督の功績は不滅だ。球界にとって得難い人だったが、今後も大所高所からプロ野球全体を指導していただきたい」
近鉄・香田勲男投手
「びっくりした。2年間一緒にさせてもらって光栄でした。日本一になった94年はいい思い出です」
近鉄・吉岡雄二内野手
「(投手から)野手になったときに監督になられて、ずっと目をかけてもらった。キャンプで僕の練習を後ろで見てくれたことは忘れられません」
近鉄・三沢興一投手
「プロに入ってから(移籍するまで)ずっと監督は長嶋さんだったので、ユニホーム姿をもう見られないのはさびしい」
川島広守コミッショナー
「プロ野球を国民すべてのスポーツにした大功労者が長嶋君だ。天与の素質はもちろん、常に努力を欠かさなかった天才だった。ユニホームを脱ぐことになったのは残念でならない。これほどのスーパースターはもう望めないのでは」
平岩外四燦燦会(さんさんかい)会長
「監督として完全燃焼され、しっかりとした後継者を見いだした上で、バトンタッチされた。素晴らしい引き際であり、男の美学を感じる。今後も野球界の発展のためにその生涯をささげてほしい」
【スポーツ関係者】
大鵬親方(元横綱大鵬)
「現役時代から言われた「巨人、大鵬、卵焼き」とは、自分と長嶋さんのことだと思っていたから寂しい。もっとやってもらいたかった。周囲の期待の大きさは大変だったろうが、立派にやったと思う」
川淵三郎チェアマン「野球界を復活させた」
「長嶋さんが監督に就任したのはちょうどJリーグがスタートした時期、野球界がやや低迷期にあったころで、期待を一身に受けた形で就任されました。危機感を持って監督になられたのだと思いますが、持ち前の明るさで野球界を復活させた功績は計り知れないと思います。本当にご苦労さまでした」
柔道・井上康生(綜合警備保障)
「シドニー五輪の前には食事に招いていただき、金メダル獲得のパワーをいただいた。スポーツ界では別格の方。ジャイアンツイコール長嶋監督というイメージがあったので残念。ただ、もうお疲れになったのかもしれないし、後は存分に羽を伸ばしていただきたい」
柔道・田村亮子(トヨタ自動車)
「ショックです。過去、私の試合前にどれだけ励ましていただいたか分からない。偉大な方が現役の監督から退かれるのは残念ですが、巨人の終身名誉監督という形で球界に残られるのが救いです。あの方がスポーツ界におられること自体が、私の励みになります」
日本相撲協会・時津風理事長(元大関豊山)
「球界の代表として、長嶋さんでなければいけない部分も多かっただろう。監督になってからは苦労も多かっただろう。ご苦労さまと言いたい。今後はこれからの人材を育ててもらいたい」
プロゴルフ・尾崎将司
「野球界の一番大きな花がなくなってしまった。大きな損失だ。野球人気も下降気味の中、僕自身としてはもう2、3年やってほしかった。世代交代の重要さを長嶋さん本人がよく知っていて、その潔さには頭が下がります」
漫画家・やくみつる
「天衣無縫のヒーローだが、言動やさい配にすきが多く、著名人の中では最も漫画で取り上げさせてもらった方だった。おとぼけばかりかと思えば鋭い発言をすることもあり、人柄をつかみ切れなかったような気がする。でもそれが最大の魅力。優勝を手土産にできなかったのは残念だが、納得した上での退任ならば、拍手で送りたい。他球団のファンとしては後任が原ヘッドコーチで、ほっとしている」
[Web報知 9月28日]