長嶋監督会見全文掲載「若返り急務、原新監督に託す」
みなさま多数お集まりを頂戴して、身に余る光栄です。本日、こうやって退任するにあたって、報道陣のみなさまからこうやって温かいまなざしと気持ちの上での高ぶりを押さえながら、私に一言だけごあいさつさせていただきたい。
2001年のシーズンの終了をもちまして、巨人軍の監督を退任いたします。かねてからこの数年間というものは次の後継者に誰が適任であるか、その一言につきます。そしてその時期は。タイミングをみながらチームを指揮を執って参りました。
次の後継者にバトンを渡す場合、私が一番心にかけていることは、戦力的にみてもチーム編成のバランスのよさ、さらに新指導者が指揮を執るためにきちっとした形でお譲りしたいと思っていました。
原君は私に3年前に巨人軍OBとして指揮官としてお入りになり、私と3年間一心同体で、3年間チーム編成を支えてきました。
昨年、世紀末に優勝させていただき、バトンを渡すには時期的に最適かという思いがありました。が、冷静に振り返ってみますと、一抹のピッチングスタッフの不安が脳裏をかすめまして、編成の充実をはかりながらもう1年やらせてもらおうとオーナーにお願いしました。
オーナーには契約の複数年とか余所の監督と違って一切、そういうのもなく、すべてオーナーに一身をあずけていました。
、ピッチングスタッフをはかるという、新たな気持ちで迎えたがそのピッチングスタッフが、4、5月は好スタートをきりながら、6、7月にきしみを生じまして、チーム自体がバランスを欠いてしまいました。今こうやって振り返ると7月のマイナス7、つまり借金が大きな大きな痛手となって、シーズンを終わろうとしています。そういうチーム事情の中で、原コーチも一心にチームをまとめながら、私の意図する名実共に次の時代を担う指導者として、確信を持って推薦いたします。
これからのジャイアンツチームは現状を冷静にふまえますと、投手補強もまた課題として残されています。チームの状態で何が急務かは、やはり組織である以上は若返りこそ急務であるというのが、私の結論であります。
その若返りをこの時期、指揮者自ら原新監督にたくし、いちOBとしてサイドから見守っていきたい。
ゲームとしてはまだ2試合残っておりながら、こうして会見に臨みましたのは、30日がホームゲームとして最終日を迎えます。ファンのみなさまにも多数お越しいただいて、私のユニホームを脱ぐ決意を直にお話しするチャンスをいただき、同時に選手諸君に真意を伝えて最後のホームゲームを目一杯戦ってみたいと思ったからです。
私も65歳という年齢に達しております。これから、この40数年を野球界にお世話になり、支えられてきました。何らかの形で野球界の繁栄、発展に私の力がもしなるなら心からご協力させていただきたい。
皆様もこのメディアを通じまして、ファンの皆様方に再度、私の感謝の気持ちをお伝えいただけたらと思います。本当に長い間、お世話になりまして、ありがとうございました。
【長嶋監督質疑応答】
―改めて辞任を決断されたのはいつでしょうか
長嶋監督 いつか?というより、いつもいつも考えていました。今年1年は勝負の年でベストを尽くしてきました。2月のキャンプの時にはいつも思っています。この勝負の世界で監督であることは、過酷な面も持ち合わせている。戦う心としてはベストをつくして戦うことです。今年1年原くんにサポートしていただいてやってきた。(辞任を発表して)今の気持ちとしてはまったく、今日の天気のようにスカッとした心境であります。
―原コーチを呼んだのはどの部屋
長嶋監督 私どもが使っている監督室です。
―原コーチを呼ぼうとしたのは?
長嶋監督 以前からずっとタイミングを図っていましたが、昨日は数字的に厳しい状況に追い込まれました。それで昨夜2人で話をしました。
―プロとしてのユニホームに決別をした感じは
長嶋監督 もう年齢的にも来てますし、体力的な余力はまだ持ち合わせているつもりですが、巨人の監督は大変な逆風も受けます。若い精神力、体力を持ち合わせている原監督に指揮を執ってもらうことは、これからのジャイアンツの歩む道のベストだと思っています。
―改めて長嶋監督にとって野球とは?
長嶋監督 野球とは…ときおり書かせてもらうんですが、人生そのものという一言に尽きると思います。
―これからの野球界へのメッセージ
長嶋監督 それだけの大それた心境は持ち合わせていませんけれども、これだけファンの皆様に支えられ…
渡辺オーナー会見全文掲載
今日みなさんにお集まり頂いたのは巨人軍の最高人事について発表するためであります。長嶋監督はシーズン終了後に辞任し、後任に原辰徳ヘッドコーチの就任を発表します。長嶋監督はかねてから原コーチは監督として適任であるから、原コーチにに監督を譲るために監督を辞退したいと言われていました。長嶋さんとゆっくり話し合った結果、この申し入れを受けることにした次第であります。
原コーチは選手の信任も厚く、長嶋さんの推薦通り、次期監督として最適だと思う次第であります。長嶋監督は現役を引退されるときに「巨人軍は永遠に不滅です」という言葉を残されました。この言葉、メッセージは巨人ファンのみなさんのみならず、野球ファンすべてのみなさんの耳に残っていると私は信じます。監督して1期、2期合わせて史上最長の15シーズン指揮をとり、勝利数は1032勝、リーグ優勝5回、日本一2回の偉業を残してくれました。長嶋さんを常務から専務に昇格し、終身名誉監督に就任することについて本人にも了解を得ています。私と長嶋さんは長い信頼関係で結ばれてきて、ここで日本のプロ野球の振興のために知恵を貸していただくつもりです。
なぜ、今日発表したということですが、まだ理論的には優勝の可能性は残っています。優勝をめざして選手が汗をかいているときに、司令長官の交代を告げることはできない。しかし私の考えでは30日がドーム最後の試合になる。ファンに長嶋監督の言葉を聞いてもらいたい。そのセレモニーをしたい。物理的にいろいろ考えて、わずかに優勝の可能性も残っているけれども、(発表は)今日という日でないと具合が悪いと思いました。といっても今季の成績は満足しています。いくつかの状況が満たされていたら優勝できる状況にあったと思います
【渡辺オーナーへの質疑応答】
―オーナーの話ですと偉大なる勇退という印象を強くしました。野球界も偉大なる長嶋さんを引退で失うということになるのでしょうか
渡辺オーナー 今引退という言葉がありましたけれど、終身名誉監督としていてもらうのですから。プロ野球の人気が低下したといいますが、大相撲はもっとひどい、サッカーも来年のワールドカップ以降はどうなるか分からない、野球はまだまだ隆盛になっていくことを願い、全国で少年クラブをどんどん作っていくつもりですし、ワールドカップもありあmす。前回のオリンピックはプロ野球の日程が決まってから急に選手を出せと理不尽なことを言われましたが、次のアテネオリンピックには巨人から優勝な選手を出して、ぜひ金メダルをとってもらいたい。私は長嶋さんが引退とは言っていない。ユニホームは脱ぎますけれども、これまで以上に野球界に貢献してもらうつもりです。40代、50代、60代の人には長嶋さんはいまだに神様で英雄です。世論調査でもいまだに好きなスポーツの最上位は野球です。なんていったって、国民の一番好きなスポーツは野球です。その野球が今日まで北のは長嶋監督のお陰です。
―原新監督への期待は
渡辺オーナー 原くんも長い野球人生を送ってきて、人柄もいいし、選手の信頼を集めることもできる。長嶋監督の後を継げる何人かを考えたときに、2〜3年にも長嶋監督が辞意を漏らしたことがありましたが、長嶋監督は言下に(後継者は)「原くんです」と言っていました。まだそのころはコーチについたばかりで若かったし、もうちょっと経験を積んでからということでしたが、もう原くんも十分育ったから大丈夫です。長嶋監督が太鼓判を押すのだから大丈夫だろうと思います。
原辰徳ヘッドコーチ会見全文掲載
「昨日、ドームでの試合終了後、長嶋監督より部屋に来なさいと言われて、部屋に入ったところ、初めて監督の心境というものを聞くことができました。自分の中では3年前に長嶋監督のもとコーチとして巨人軍に来て、監督に忠誠心を誓うということでコーチ陣に入りました。今現在も同じ心境です。巨人のため監督のため、力になることはないか、今もやっています。昨晩より、監督からいただいた言葉は、自分の中で心の準備が全くできない状態で聞いてしまいました。自分としてはヘッドコーチの役割をまっとうしますという言葉しか見つかりません。長嶋監督の言葉を一つ一つ聞いていると、野球への情熱、野球への厳しさ、ファンへの温かさというものを人生の中で勉強させていただきました。それを忠実に継承し、これからの自分の役割である監督を一生懸命に頑張ります。それしかありません。今後ともよろしくお願いします」
[Web報知 9月28日]