球団に愛想?王監督、ついに勇退か! 


 ダイエー球団は6日にも王監督に対し、来季の続投を要請する。だが、結論は持ち越しになる見通し。勇退も視野に入れている王監督は、シーズン終了まで熟慮する姿勢だからだ。

 球団側の続投要請の動きに、王監督はこう明言する。

 「球団が会いたいといえば、会いますよ。でも、シーズン中だし、『話は一応承りました』というしか言いようがない」

 来季続投要請に対し、即答はせず、態度を保留するというのだ。

 3年連続最下位の危機に直面する阪神・野村監督の異例の時期の来季続投が決まったばかりだが、王監督はシーズン終了まで答えを出さない。もちろんそれなりの理由があるからだ。

 今回の続投要請は球団側の一方的な事情で、王監督にとってはハタ迷惑なだけだ。リーグ3連覇に向け、近鉄、西武と激烈な三つドモエ戦を展開。これからが正念場になる時期だけに当然だろう。

 それなのに、なぜ焦って球団側が動いたのか。王監督が来季続投してくれるかどうか、自信がないからだ。今から続投への路線を敷き、世論作りをして、王監督に逃げられないようにしたいという本音がある。

 来季、台湾で公式戦をやると早々公表したことも、王監督を何とか慰留しようとする作戦の一環だ。

 台湾で英雄視されている王監督は、2日、台湾政府から勲章をもらったばかり。当然、台湾の方では来年、王監督がダイエーを率いてやってくると思っている。これも王監督続投の世論作りの一つだ。

 「今や王ダイエーになっている。王監督には1年でも長くやってほしい」と球団フロント首脳は言うが、王監督からすれば、そう簡単に結論を出せる問題ではない。

 「もうゆっくりみんなとゴルフでも楽しみたいね」と、王監督は周囲にもらしているという。勇退を視野に入れているのだ。

 万年Bクラスチームを5年かけて、リーグ初優勝させ、日本一に。昨年もリーグ連覇。今季も優勝争いしている。常勝チームとしての土台作りは終え、一区切りという達成感がある。

 ツルの一声で王監督を招聘(しょうへい)した中内功オーナーが勇退して、息子の正氏にオーナー職を譲ったことも、王監督のダイエー離れに拍車をかけている。

 王監督は「長嶋さんと渡辺オーナーが2人だけにしかわからない特別な関係であるように、オレと中内(功氏)オーナーの間もそういうものがあるよ」と、口にしたことがある。その特別なキズナで結ばれた中内功オーナーが勇退したことで、ダイエーに義理立てする必要がなくなったのだ。

 「読売グループからのアプローチがある。日本テレビの氏家社長が動いている」という、球界関係者の情報もある。

 ポスト長嶋人事で頭を痛める読売首脳が、ついに切り札である王監督にアプローチしたというのだ。

 勇退説に説得力をもたせる情報だが、何とダイエー関係者からも、王監督に勇退を勧める声がある。

 「一昨年、日本一になったのに、年俸ダウン提示するような非常識な球団は、王監督に迷惑をかけるばかり。脱税事件、スパイ疑惑事件、日本シリーズ中の福岡ドーム貸し出し事件。今年も、シーズン中は禁止されている選手の米国留学をやろうとして物笑いのタネになっている。もう王監督は辞めた方がいいですよ」

 内部からさえこんな声があがるのだから、王監督が来季続投要請に即答などするわけがない。それどころか、優勝争いの大事な時期での非常識な球団側の行動が、王監督勇退の引き金にさえなりかねない。


[夕刊フジ2001年08月04日]