初の『ON球宴』が21日に福岡ドームで幕を開ける。全セを率いる巨人・長嶋茂雄監督(65)は20日、今季は本塁打、打点争いで苦戦を続ける松井秀喜外野手(27)を、それでも4番に据えることを明言した。指名を受けた松井は5年連続の球宴アーチを狙うとともに、驚異的な本塁打量産を誇る全パ打線に対して挑戦状を叩きつけた。
全セの4番を任せるのは、やはり、この男しかいない。長嶋監督は迷うことなく、松井の名前をあげた。
「4番ですか、松井か清原。やっぱり、松井でしょう」
球宴直前の阪神3連戦に3連敗。そのショックもいえぬ、早朝散歩を終えた芦屋市内の宿舎前で明言した。低迷ムードのチームの雰囲気を変えてくれ…。そして松井自身にも、何かのきっかけをつかんでほしいという願いが込められていた。
前半戦の総本塁打数が466本のセ・リーグに対して、パ・リーグは634本塁打。すでに近鉄・ローズ、西武・カブレラ、ダイエー・小久保と3人が30本の大台に到達しており、セ・リーグも立つ瀬がない。
そこで松井だ。今季は打率こそ.341でリーグトップだが、18本塁打は7位、61打点は4位に甘んじている。しかし球宴となれば話は別。3度のMVP受賞、そして平成9年から昨年まで4年連続でアーチをかけている。実際、平成6年の第1戦(西武)で初体験して以来、昨年の第3戦(長崎)まで8試合、『全セ』の4番に座っているのだ。
「オールスターはお祭りじゃない。真剣勝負だよ。そのなかでホームランを打てたらいい」
5年連続本塁打を目指す松井が、とくに対抗意識を燃やすのが西武・カブレラだ。第3戦の舞台となる札幌ドームで、7月15日に同球場初の天井弾(二塁打)を放った。そんな怪力男に、強烈な挑戦状を叩きつけた。
「カブレラは、いいバッターには違いないけどね。オレも札幌ドームの天井にブチ当ててみるかな」。高さ63メートルの天井はゴジラのパワーにかかれば到達可能。なんといっても、平成10年の球宴第2戦(ナゴヤドーム)では170メートル弾をマークしている。
初のON球宴も、あくまで主役はプレーヤー。21世紀初の“夢の祭典”を飾るには、松井の豪快弾は必要不可欠だ。
[サンケイスポーツ2001年07月21日]