G長嶋監督が通算1000勝達成!


 【巨人6−0中日】巨人・長嶋茂雄監督(65)が新たな金字塔を打ち立てた。28日の中日戦(札幌ドーム)に6−0で勝ち、監督通算1000勝を達成。今季初完封のエース・上原らナインから、メモリアル勝利をプレゼントされた『ミスター』は、今後も不滅のメークドラマを追い求めていく。

 会心の勝利の先にあったのは背番号『3』の会心の笑顔。歓喜する札幌ドームの電光掲示板に浮かぶ『祝 長嶋監督1000勝』の文字にちょっぴり驚き、そして照れながら、長嶋監督は勝利インタビューが待ちうけるベンチ裏に急いだ。

 「きょうはバランスが良かったね。展開が楽でした。割合、安心して見ていられましたから」

 長嶋監督が目指す、まさに理想的なゲーム展開で勝ち取ったメモリアルウイン。投打が噛み合った完勝劇の立役者は上原と、清原だった。

 「よかったなあ、きょうの上原は」と今季初完封のエースを絶賛。打っても2安打の活躍に「よほど体調が良かったんでしょ」。また一回に先制点となる押し出し死球を受け、中日の先発・川上をギラリとにらんで威嚇した清原にも「当たりにいったね。あれは清原にしかできない芸当です。あれで川上も動揺したな」と、うれしそうに解説してみせた。

 いまから26年前の昭和50年4月5日、大洋(現横浜)に黒星を喫して幕を開けた監督生活。この年の勝率は3割8分2厘という低迷で最下位。それがいまや通算1000勝、勝率でも5割3分9厘と、あの野村監督さえ凌いでいるのだから、名将の称号に異論の余地などない。

 「(1000勝は)プレーヤー諸君が、ベストを尽くした結晶が積み重なったものです。監督の指揮にはやはり限度がありますから…。主役はプレーヤー諸君です」

 控えめな台詞のミスターだが、そのプレーヤー諸君の“生みの親”がやはり長嶋監督であることも事実だ。松井の指名権を引き当て、そして金満補強といわれながら、現在の江藤、工藤、そしてこの日の清原を口説き落としたのも、最後は長嶋監督の魅力。「監督がいたから、いまのオレがいる。ああいう光を放ち続けたいと思ってやってきた」と、かつて証言したのは清原だった。

 歴史的1000勝の証人となって大喜びの道産子G党をよそに、この日の足を絡めた攻撃に「今年のチームテーマですから。後半戦でも続けていかないと」と浮かれる素振りもない。大台でさえあくまで通過点。人気の低迷が叫ばれるプロ野球で、21世紀、65歳となったいまも輝きを増して走り続ける。巨人という最強軍団を率いる名将・長嶋茂雄は、さらに新たな勝利を積み重ねる。

[サンケイスポーツ2001年06月29日]