長嶋監督、G監督最多の白星達成!


 【巨人5−4阪神=延長十回】長嶋巨人が阪神を破り、6カード連続勝ち越しで早くも独走モードに入った。長嶋茂雄監督(65)は川上哲治元監督と肩を並べる巨人監督通算最多の1866試合目を痛快白星で飾り、最高のミスタースマイルをふりまいた。

 紅潮した顔は夜風にさらされてもなお、熱を帯びたままだ。まさに筋書きのない、これぞドラマチック野球の真骨頂。連夜の乱戦を土俵際で制した長嶋監督はフーッと大きな息をついた。

 「いや、きょうも1点差かぁ。フシギだな。なぜか接戦になるな、1点差のゲームに…」

 二転三転、終盤にもつれにもつれた。今季初先発の鄭ミンチョルの好投で「3対1で勝たなきゃいけない」(同監督)はずが、八回にまず同点。最終回にはサヨナラ負けの危機を高橋由の好返球で防ぎ、直後の十回に2点勝ち越し。楽々逃げ切りの予定が、またまた1点を返されなお一死三塁のピンチ。これで今季1点差試合は9勝2敗とはいえ、「好ゲームだったね」という長嶋監督のセリフも少し上ずったままだ。

 伝統の巨人Vs阪神の通算1501試合目となったこの試合。実は長嶋監督にとっても大事な節目の試合だった。第1、2次政権を通じて巨人の監督として迎える1866試合目は、あのV9の名将、川上哲治氏の持つ球団史上最多記録に肩を並べるメモリアルゲームだった。

 「へえー、そうか。知らなかったよ」という長嶋監督だが、名将と呼ばれた川上越えに思いが浅かろうはずがない。かつてミスターは監督業について「水原、川上、そして砂押…。この3人の監督にはいろんな意味で影響を受けています」と話したことがある。

 現在もキャンプで行う猛ノック、選手への精神注入は立大時代の恩師、砂押監督。そして戦術面では水原監督。勝利への飽くなき執念という点で川上監督。解任時に騒がれた川上派との確執は別として、監督として目標とし続けた人物を越えたことは“監督”長嶋茂雄として意味深いメモリアルゲームとなった。

 「勝ったけど、課題はあります。八回は走者を送れず(同点に追いつかれる)ツケが回ってきた。逃げ切れるピッチングスタッフがいないし」

 好調・阪神に2勝1敗とし、これで6カード連続勝ち越し。勝ち星にして15、貯金7という独走態勢に入りつつあるが、試合内容ではまだまだ満足していない。強い勝ち方、開幕前に掲げた王道に向けて手綱を決して緩めたりはしない。球団史、いや球史に残る名将としての道。監督・長嶋茂雄はまだまだこれからも輝きを放ち続ける。

[サンケイスポーツ2001年04月27日]