左腕拒否症候群の西武用に獲得した新外国人投手を大々的にお披露目したダイエー・王監督。外国人獲り下手な巨人にも強烈な一発を見舞うと同時に、格安舶来良品獲得の実績に胸を張る。
16日から福岡ドームで始まった首位を走るロッテとの3連戦を前に、王監督の言動はチグハグだった。
「1チームだけを走らせるのはまずい。今度は2勝1敗でロッテに勝ち越す」と言いながら、第1戦の試合前に首位・ロッテ戦とは無縁の異例のパフォーマンスを演じた。
入団発表したばかりの左腕のクリス・ヘイニー(32=前インディアンス)に、グラウンドで打者相手に投げさせる実践的なテストをしたのだ。「隠しませんから」と宣言して報道陣に公開デビューだ。
自ら陣頭指揮して、打撃ケージをどかさせ、打者相手の試合形式でのピッチング、さらにはけん制球までチェック。「日本で成功しているタイプ。速いボールはないが、内外角に低めの変化球を投げ分ける。西武戦(20−22日)に投げさせるよ」と断言した。
ラジオが先発の軸。守護神にペドラザがいる。それなのに、あえて第3の外国人投手、メジャー通算38勝の左腕ヘイニーを獲得したのは、どうしても勝ち越せない西武用だ。
「ヘイニーを取って好調なラジオがヘソを曲げるのが怖い」と、球団関係者が恐れていたように、ハイリスクで、実際にラジオはぶんむくれているという。
それでも王監督にすれば、なにしろ西武は左腕アレルギーだから、ワラにもすがる思いのヘイニー獲得なのだろう。
わざわざ報道陣に初ピッチングを公開したのも、西武に新左腕を意識させる狙いが見え隠れする。が、それだけではない。
「ウチの新外国人の予算は5000万円どまりだから、ヘイニーもそのへんでしょう」と、球団関係者が断言するように、格安外国人獲りの商売上手を大々的にPRする狙いもうかがえる。
「巨人より早く新外国人投手を獲得したって? 巨人は決断力がないんだよ」と、王監督は古巣・巨人へ強烈な一発を放ったが、反論できないだろう。
論より証拠だ。このヘイニーに関しては、まだ実力は未知数だが、ダイエーの格安舶来良品には定評がある。「今年のウチの新外国人選手は2人で年俸4000万円だからね」と、王監督は強調していたが、年俸1500万円のミッチェルはともかく、2500万円のバルデスは首位打者争いまでしているのだから、たいしたもの。
「バルデスは面白いよ。3割を打つ」と、キャンプから言い切っていた王監督が胸を張るのは無理もない。
守護神・ペドラザにしてもメジャー経験なしどころか、2Aの選手で、入団時の年俸はたったの2000万円。2年連続リーグ優勝に貢献してやっと1億2000万円だ。
先発の軸のラジオも1年目の昨年は年俸2700万円で8勝をあげている。
「ウチが巨人の新外国人ストッパーを探してあげてもいいよ」と、ダイエーフロントがうそぶくのも無理はない。
[夕刊フジ2001年04月17日]