長嶋、打っても打っても松井を酷評


 巨人・松井秀喜外野手が1000試合出場を通算250号本塁打で飾る離れ業。長嶋監督の激辛批評に、2試合連続で右翼席最前列に突き刺す弾丸ライナーで反論した。

 「松井の打球はライナーが多い。あれじゃチャンスで外野フライも打てない」と苦言を呈する長嶋監督に、またもメジャー級のパワーを見せつけた松井。「きのうと同じ低い弾道だったけど、やっぱりいい打ち方ができたんだろうね」と珍しく自画自賛だ。

 記念の試合を区切りの一発で自ら祝うなんて、もちろん簡単なことではない。試合前の長嶋監督は「本人もそういう気持ちあるだろうし、結果が出ればいいでしょうけど、本人は相当意識してると思うからね」と、意識過剰になって不発に終わるとみていた。長嶋監督自身の1000試合目も、4打数1安打に終わっている。

 それを見事にやってのけたのだから、この日ばかりは松井も得意げになった。「250号は早くクリアしたかったんだ。このカードでポンポンと打ててよかったよ。思い出のホームラン? コレと言ったのはないよ。だって全部ハッキリ覚えているからね」と胸を張った。

 が、こうなると長嶋監督も意地になる。前夜、左足首痛からの復活を告げた一発を「昨日のは出合い頭でしょう。振ったらたまたま当たっただけ。ああいうのを出合い頭、というんですよ。技術的にまだまだ問題があります。ベンチから見てても、空振りの仕方が悪いですから」と酷評。

 この夜の記念弾も「まだ昨日よりは良かったです」と渋々認めつつも、「いや、でもきょうは入来(祐作)でしょう。これからもずっとローテで使いますよ」とすぐに話題を変えてしまった。

 ちなみにこの日の松井は、五回表に250号の花束をもらい、五回裏終了後に1000試合出場の花束をもらった。「花束同じだったよ。使い回しなんだよ、アレ」と毒づいていた松井。本当に毒づいてやりたかったのは、どれだけ打っても褒めてくれない、長嶋監督だったのかもしれない。


[夕刊フジ2001年04月13日]