ダイエー身売り!リーグ消滅の危機!



 25日、東京・銀座の連盟事務所でパ・リーグ理事会が開かれたが、席上、ダイエー・中内功オーナー(78)と中内正オーナー代行(41)のオーナー交代劇が報告された。大物オーナーの突然の退任は、身売り騒動に拍車がかかり、パ・リーグ消滅の危機が一気に高まる。

 「いつも地元にいるオーナーの方がいいのでは、というお話だった」

 ダイエー・高塚球団社長から報告を受けた年内で勇退する原野会長が、突然のオーナー交代劇をこう解説した。

 が、原野会長からバトンタッチされる小池新会長にとって衝撃の中内功オーナーの退任だ。大物オーナーがいなくなることでダイエーの身売り騒動が再燃することは避けられず、パ・リーグ全体に波及するからだ。

 それでなくともリーグ連覇を果たしながら、身売りの危機に見舞われているのがダイエーだ。単なるウワサの域にとどまらず、買収先として具体的な消費者金融会社名があがっているほどだ。

 「いくらリーグ連覇してもうかっても本社と連結決算しているから、厳しいんだろうね」と、球界幹部がもらす。

 確かにいくら球団が稼いでも、火の車のダイエー本社にとっては焼け石に水だ。長嶋巨人に次ぐ12球団で2番目の観客動員を記録する王ダイエーですらこの状態、そこへ中内功オーナーの突然の退任とくれば、身売り騒動に拍車がかかるのは当然だろう。

 ダイエーの突然の人事は、年間20、30億円の大赤字を出す、ダイエー以上に青息吐息の他球団にも飛び火する。

 「一部テレビ局が流して大騒ぎになった、メディア王、マードック氏の近鉄買収話にしてもガセネタとして片付けられないだろう。身売りでなくとも、スポンサー契約の話とか何かそれらしい商談をしていて、ご破算になったから、もれてきたのではないか」と、球界関係者が解説する。

 一枚看板のイチローに大リーグへ逃げられたオリックスなど、目玉選手がいなくなり、お先真っ暗。

 ルーキー時代はイチローを超える集客能力を誇っていた西武・松坂大輔が無免許運転、違法駐車事件で一気にイメージダウン。清原和博を特別扱いして失敗した反省を生かせず、同じ愚を犯した球団側の管理失敗で手痛いダメージを負ってしまった。

 ロッテ、日本ハムにしても観客動員を飛躍的に伸ばす目玉はない。

 「来季のパ・リーグは水面下の身売りレースから目を離せない。買い手がつかなければ、近い将来、1リーグ制度になるしかない」という深刻な声が、球界内から噴出するのも無理からぬ非常事態だ。

 それなのに、「新聞が勝手にパ・リーグの危機を書き立てているだけ。パ・リーグは大丈夫だ」と、パ・リーグ幹部は強弁しているという。

 こんな無自覚な幹部がいては話にならない。いくらセ・リーグの試合のない月曜日を狙って「マンデー・パ・リーグ」を打ち出しても切り札にはならないだろう。

 かつてパ・リーグにはパンチョこと伊東一雄広報部長という名スポークスマンがいた。小池新会長が早急にやるべき仕事はまず有能な広報担当のヘッドハンティングだろう。足元を固めることを怠ったら、すぐに身売りレース、パ・リーグ消滅の危機が現実のものになる。

[夕刊フジ2000年12月26日]