新世紀ストーブ、ONダブル勇退も



 2001年は監督交代人事のあらしが吹きまくる。今オフに誕生した新監督は結局、横浜・森祇晶、広島・山本浩二両監督だけ。ところが、21世紀のスタートになる来年のオフには大量交代劇が避けられない情勢だ。

 20世紀を締めくくり、21世紀の始まりもONシリーズへの期待が高まる日本プロ野球界だが、いつまでもONにオンブにダッコというわけにはいかない。

 来年の2月20日に65歳の誕生日を迎える巨人・長嶋茂雄監督が、勇退のタイミングを考え出したのは当然だろう。6年ぶりの日本一になったこのオフ、水面下で「電撃12月勇退説」が執ように流れたのも、長嶋監督の周辺にキナ臭いムードが漂っていたからだ。

 来年、3年連続リーグ優勝、日本一奪回を目指すダイエー・王貞治監督にも勇退説がついて回る。

 本社の再建のメドが立たず、球団身売り情報が消えることがないからだ。「身売りはしない」と本社トップは言いながら、「聖域扱いしない」と明言する。

 リーグ連覇したこの2年間で長嶋巨人に次ぐ人気チームになったから、売らないだけ。優勝できず、観客動員が急降下したら、いつ身売りがあってもおかしくない。

 王監督にはポスト長嶋の切り札という立場もあるだけに、勇退のXデーがなおさら注目されるのだ。ダイエー内部では王監督に逃げられた場合を想定してか、「フロントの一部が次の監督として秋山擁立に動き出している」(ダイエー関係者)という。

 2002年の日韓共催のサッカーW杯を前にして衝撃のONダブル退団の可能性は否定できない。そうなれば、球界は大激震に見舞われるが、他10球団の大半でも来シーズン途中から監督人事が水面下で動き出す。安泰なのは、新監督の横浜・森、広島・山本監督の2人だけだろう。

 契約切れの3年目になる阪神・野村克也監督、ヤクルト・若松勉監督は待ったなしの年になる。毎年1年契約で勝負する中日・星野仙一監督も打倒・長嶋巨人を果たさなければ、進退問題は避けて通れない。

 パ・リーグも似たような状況にある。来季も王ダイエーに優勝されるようなら、西武・東尾修監督の解任は間違いない。今オフも一時期、解任濃厚となり、後任に巨人OBの中畑清氏が浮上。西武フロントが中畑氏の駒大時代の恩師・太田監督に接触した事実があるからだ。

 イチローにマリナーズ入りされるなど、仰木マジックの言葉も色あせたオリックス・仰木彬監督も後がない。

 球団から優勝のノルマを突き付けられたロッテ・山本功児監督、1年目でいきなり最下位の近鉄・梨田昌孝監督も危うい立場にいる。対照的に1年目の今季、優勝争いに絡んで3位になった日本ハム・大島康徳監督が辛うじて再来年までの続投が保証されるかどうかだ。

 今年は横浜・権藤博、広島・達川晃豊監督の2人だけに終わった監督解任劇だが、21世紀のスタートとなる来年のオフは大量交代は必至だ。

[夕刊フジ2000年12月19日]