巨人・渡辺恒雄オーナー(74)は13日、都内で行われた、今世紀最後の日本新聞協会理事会に出席後、イチロー、新庄らの大リーグ入りを受け、ゴジラ松井の流出に危機感を表明。返す刀で、またまた過激発言を連発した。
「今の傾向では、(有力選手の大リーグ移籍は)はやるだろうね。そういう中でも、巨人は優秀な選手をキープしなければならない。松井の複数年契約? そりゃそうだよ。自由競争でグローバライズ(国際化)されている現状では仕方がない」
渡辺オーナーはこういう表現で、松井に長期契約を求める方針を示唆した。
その後、ストも辞さずの強硬姿勢のプロ野球選手会を批判。「突然ストなんかやったら、徹夜で並んでキップを買っているファンが一揆を起こすよ。古田君(労組・選手会長)なんか、殺されちゃうんじゃないか?」と切って捨てた。
選手会が求めている「一軍選手の待遇改善」より、薄給の二軍選手、スカウトら球団職員、ひいてはコミッショナーやセ、パ両リーグ会長の待遇改善が先決、との論法を展開。「選手会の要求は金持ち優遇、貧乏人いじめ」とズバリだ。
それはごもっとも。しかし、「コミッショナーや両リーグ会長が、いくらもらっているか知っているか? あれじゃ、まともな人はならないよ。経団連副会長クラスは来てくれない。おれだって嫌だよ。給料が5分の1になっちゃうからな」とは、やや言い過ぎ。
実はこの日、名古屋でセ・リーグ理事会が開かれ、病気の高原セ・リーグ会長の後任問題が協議された。伊藤修理事長(中日代表)は「後任には、官界の方1人、財界の方1人の2人名前が挙がった。できれば来週中、遅くても年内に決めたい」と話しており、ほぼ固まっている。
そんなおり、これからセ・リーグ会長になる人も、就任前から渡辺オーナーに「まともな人はならない」と切って捨てられては、立つ瀬がないだろう。
コミッショナーと両リーグ会長の年俸は2400万円と定められている。渡辺発言は即座に関係者の間に広まったのだが、「さすがは読売新聞社長。自分の口から堂々と、年俸1億2000万円(2400万円の5倍)と公開したんだからな」との声で持ちきりだった。
巨人に、球界全体に、何度も波紋を広げてきた渡辺発言。21世紀も目が離せない。
[夕刊フジ2000年12月14日]