苦しい台所…王監督“微増”でも満足



 ダイエー・王貞治監督(60)が、1000万円アップの年俸1億3000万円で、来季の契約を終えていたことが3日、明らかになった。昨季は、日本一に輝きながらダウン提示。本社の2兆円を超える、有利子負債などの影響で、球団経営も厳しい状況下、「上げる人には、気持ちよく」と中内正オーナー代行(41)。きょう4日から本格化する主力組の更改を前に、指揮官はアップを勝ち取った。
                
 アップ率とすれば、およそ8%。V2を達成した手腕への評価として、それが妥当なのかどうか…。王監督が“微増”で、来季の契約を終えていた。

 「契約については、球団の方に、聞いてよね」

 個人後援会である『王友会』の大納会が福岡市内のホテルで行われた、今季の区切りとなるこの日、来季の契約を結んだことだけは指揮官が認めた。推定で1000万円アップの、1億3000万円だ。

 本社の2兆円を超える有利子負債。かつてのような本社側からの多大なバックアップは期待できず、球団・ドーム・隣接ホテルが一体となった、福岡での事業を、いわば“独立採算”で行ってほしいというのが本社側の意向。日本一の昨季は、当初ダウン提示を受けて保留。「そういうものじゃない」と、球団側を半ば説き伏せる形で、現状維持にしたという、水面下での折衝があったほど。

 しかし、今季はオープン戦を含め、主催試合で観客300万人以上を動員。来季の年間予約席の売り上げも好調で、球団側は昨季より6〜8億円の人件費総額アップで、きょう4日からの、主力組の契約更改に臨む。「上げる人には気持ちよく上げたい」と中内オーナー代行。その先陣が指揮官の1000万円増だ。

 「フロントの努力、その力が、だんだんと大きくなって、福岡ダイエーホークスは、本当に強くなりました。来季は日本一奪回をテーマに戦います」

 『王友会』の挨拶で、高らかに誓った。苦しい球団の台所事情。その中から1000万円。カネがどうこう…という性格の人ではないのだが、フロントを褒めたところを見れば、昇給には、満足なのでしょう。

[サンケイスポーツ2000年12月04日]