吉永吠えた「オレが巨人の正捕手だ!」



 巨人の正捕手はオレ様だ! 大野倫外野手(27)との交換トレードでダイエーから巨人へ移籍することが決まった吉永幸一郎捕手(31)の入団発表が20日、東京・神田錦町の巨人球団本部で行われた。吉永は「巨人の捕手は無難なリードしかしない」と痛烈に批判した上で“正妻奪取宣言”。またD1位の中大・阿部慎之助捕手(21)に対しても「自分が普通の力を出せば負けない」と軽く一蹴した。背番号は未定、年俸8000万円で来月中にも正式契約を結ぶ。

 自信満々の宣戦布告だった。新天地へ乗り込んできた吉永が、いきなり“果たし状”を突き付けた。

 「巨人のキャッチャーは無難なリードしかしない。パ・リーグ(の捕手)は、もっとピッチャーのいい面を引き出すリードをしますよ。来季はぼくが全試合、マスクをかぶります」

 このほど、巨人・大野との交換トレードが成立し、晴れて迎えた入団会見。初めてそでを通した巨人のユニホームにも遠慮するどころか、これは完全な挑発だ。先輩捕手の村田真はじめ、巨人捕手陣に対して強烈な先制弾をぶち込んだ。

 来季、連覇を目指す巨人にとって、ウイークポイントとされてきたのが捕手。37歳のベテラン・村田真に次ぐ捕手難が叫ばれて久しいが、今オフ、一気の補強策に乗り出した。D1位でアマ球界NO・1捕手の中大・阿部を、そしてトレードで吉永を獲得と、捕手難は一転して激戦区へと様変わりした。村田善、小田ら若手捕手も一軍定着に名乗りを上げる中での“正妻奪取宣言”だった。

 「阿部? 見たことないですから。でも、自分が普通の力を出せば、負けるはずはない」

 スーパールーキーをも一蹴した。プロ13年間で培ってきた経験。通算150本塁打の長打力に加え、平成6、8年には捕手としてベストナインにも輝いた実績もある。特にルーキーの阿部と比較されることには黙っていられない。すでに『開幕一軍』が確約されている阿部だが、“一年坊主”に正妻の座を譲ることは、自らのプライドにかけても許せない。

 巨人の正妻獲りへ、準備も着々と進めている。一昨年痛めた両ひざ強化のトレーニングをすでに開始。負担を減らすため現在101キロの体重を95キロに減量する試練を自らに課した。

 また、ピッチングマシンを相手に捕球、スローイング練習に汗を流す毎日。来季の年俸は今季の1億1800万円から大幅ダウンの8000万円となるだけに、来年1月に第2子が誕生する予定の吉永にとっては、まさに背水の陣だ。

 「捕手一本で勝負します。自信もありますよ」

 吉永の言葉は、どこまでも挑戦的だ。巨人捕手陣が、一気に戦国時代に突入した。

 ○…長嶋監督は全国民間放送連盟の東京支社長会にゲストとして出席。日本シリーズの思い出話などのスピーチで会場を沸かせた。吉永の加入で激戦となる捕手陣に対しては「吉永、阿部、村田真、村田善で競争ですよ」と横一線スタートを強調していた。

[サンケイスポーツ2000年11月21日]